Vol.24-箔座ブランド、箔をつくる人、箔を加工する人、その想いをつなぐ人
「箱根山、籠にのる人、籠を担ぐ人、そのわらじを編む人」。これは、世の中には籠の客となる人もいれば、それをかつぐことを生業とする人、その人の草鞋をつくる人もいる。多くの人が関わり合い助け合いながら広い世の中というものは成り立っているのである、ということを表現したことわざです。
わが社も、いろいろなセクションのスタッフがそれぞれに力を発揮しながら箔座ブランドをつくりあげています。箔をつくる人、その品質を見定める人、箔を加工する人、そうやってできあがった品を売る人、広める人。そういった人たちを叱咤激励する人(社長) などなど。
今回お話させていただきたいのは、箔の生産管理を担当する専門部署のスタッフのこと。箔の世界は本当に奥が深いので、わからないことはすぐ箔の専門部署に相談します。彼らのことを、ワタクシは勝手に「箔ソムリエ」と呼んでいます。
何をもって箔の“ソムリエ”なのか。
彼らによりますと、金箔は同じ製法(伝統的な製法、あるいは現代的な製法)、合金配合率、サイズであってもつくる職人によって仕上がる箔が微妙に異なるとのこと。また、同じ職人であっても打ち紙の状態によって異なることもあります。彼らはそういったことを充分に把握し、箔のユーザーであるお客様からのご要望に応じて、その用途に適した箔をおすすめしています。時には、お客様の想いを職人に伝え、要望に沿えるよう調整を依頼することもあります。
比べるものがあって、それらの違いが顕著であるならまだしも、職人によっての微妙な違いなんて、残念ながらワタクシには全くもってわかりませぬ。
これまで、箔をつくる職人の仕事とあわせて、それに対するこだわりや想いを紹介してきました。そして、前号「違いのわかる職人の、間違いのない仕事」にて、金箔をはる職人の“箔そのものを活かし、箔の表情を最大限に美しく表現したい”という深い想いをお伝えしました。
“箔をつくる職人”と“箔をはる職人”。
「箔ソムリエ」とはその両者の思いをつなぐ、箔座ブランドの要となる人たちです。
それができるのは、箔の深い世界を探求し、たくさんの箔に出会い、お客様のご要望に応えるべく研鑽を積んできたから。そして、何よりも箔への深い愛情ゆえに培われたセンスといえましょう。
最後に。
「箔ソムリエ」に、もっともよい箔とはどういうものか、と聞いてみたことがあります。
均等にきれいにのびていること、不自然なシワがないことなどを専門用語を交えながら説明してくれたあと、こう言いました。
「しかし、どんなに最高といわれる箔でも万能ではありません。(お客様の)A様にとって最高の箔が、B様にとっては好ましくない箔ということもあります。すべてのお客様に通る箔というものは存在しないのです。」
つまり、お客様のご要望にぴったり合うものがよい箔、ということなんですね。
「箔ソムリエ」ならではの言葉です。参りました。
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