ゴールドコラム & 特集

JM Report続き

今週は先週のプラチナに続いてパラジウムとその他PGMです。パラジウムは今後中国をはじめとする新興国でのガソリン車の売上げが伸びれば、その需要も伸びると思われます。ただし750ドルを超えるレベルではロシアからの売りが入り、相場の頭を冷やすという動きがこのところの過去の情況です。

「Palladium」




■供給と需要のギャップは狭まるも2013年はまだ23トンの供給不足。鉱山生産は200トンに減少。ロシアの在庫からの売却が減少したため。リサイクルからの二次供給は7.4%増加し、76.5トンになる見込み。需要は3.4%減って300トンに。自動車触媒需要は大きく伸びたがほかの分野が振るわなかった模様。

■世界のパラジウム生産は1.5%減少し200トン。ロシアの政府在庫からの売却が3.1トンに減少したことが影響。南アの若干の増加、ジンバブエの生産はその鉱山開発の進展のために大きく伸びた。ニッケルの副産物としての北米のパラジウム生産も増加する見通し。

■中国でふたたびマイカーブームが到来したため自動車触媒の需要は4%伸びて217トン。中国は世界で第二位の自動車触媒需要国となり、その需要は47トンとなった。パラジウムの自動車触媒需要は日本を除くほかのすべての地域で増加する見込みであるが、2013年は近年の大きな伸びと比べると幾分おだやかなものとなるだろう。

■産業用需要(自動車触媒を除く)は6.6%減少して68.3トンに。2004年以来の低い水準。代替の動きが原因で電子材料の分野で非鉄金属に、歯科の分野ではセラミックスや貴金属ではない合金に変る動きが目立つ。化学産業からの需要は非常に強く、過去に例をみないレベルである。

■中国での宝飾需要はそのシェアを失いつつあり、ほかの国々ではまだまだその地位も固まっていない状態。中国以外ではホワイトゴールドの合金の材料として使われており、その需要は安定している。結果的に2013年のパラジウムの宝飾需要は12.4%減少の12トンでこれは過去10年で最低のレベル。

■投資家の興味は今年は減少。年初の二ヶ月はETFに資金が流入したが、年半ばは逆に資金の流出が続いた。その結果2013年一年での投資需要は2012年の14.6トンから2.3トンに激減。

「その他のPGM」

■ロジウムは2013年は435kgの供給不足。需要は過去6年では最高レベル。需要総計は4.3%増加して31.7トン。中国の自動車市場の二桁の伸びとETF投資家による買い、そして硝子産業の回復による需要により増加。鉱山生産による供給は22.4トンで2012年と変らず。南アでの生産増加が見られなかった。自動車触媒のリサイクルによる供給は11.5%伸びて、8.7トン。

■ルテニウムとイリジウムの需要は若干の改善が見られるが、両方のメタルともに供給過多の状態にある。電子産業業界は2012年からの在庫を使い果たし、今年はより多くのルテニウムを買ったことにより総需要は25.3%伸びて25.7トン。イリジウムの需要は6.2トンで、2010年、2011年と比べると低位のまま。エレクトロニクス分野でのLED製造への新たな投資がないことがその要因。

以上。

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岡藤商事株式会社

プロフィール

池水 雄一

Yuichi Ikemizu

スタンダードバンク東京支店長

1990年クレディ・スイス銀行、1992年三井物産貴金属リーダー、2009年より世界一の金取引量を誇るスタンダードバンクの東京支店長に就任し、現在に至る。一貫して貴金属ディーリングに従事し、世界の貴金属ディーラーでBruce(池水氏のディーラー名)を知らない人はいないと言われている。著書に「THE GOLD ゴールドのすべて」など。

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