パラジウムの現状
今週はパラジウムの話を少し。パラジウムは貴金属4品のなかではもっとも馴染みの薄いメタルかもしれません。個人投資家にとっては、Tocomは流動性がない、地金商では投資用の現物を売っていないとなかなか手を出しづらいメタルです。しかしその実用的価値はプラチナに劣らないものがあります。年間の鉱山生産量はプラチナとほぼ同じ200トン。一番重要な需要である自動車触媒ではプラチナがディーゼル車に主に使われるのに対して、パラジウムはガソリン車に使われます。昨今ではその価格差から、プラチナのパラジウムでの代替もできるところではすすんできているようです。そもそもパラジウムがどうしてプラチナのほぼ半分の価格なのか、僕にはその理由がわかりません。ちょっと不思議です。以下パラジウムの現状を箇条書きにしますが、将来的にはパラジウムの価格はプラチナに近づいていくのではないでしょうか。
「パラジウムの現状」
・上値抵抗線であった760ドルを突破。一時2013年4月以来の780ドル台に上昇。
・パラジウムは貴金属の中では唯一ゴールドの価格の動きに影響を受けないメタル。
・今回の780ドル台への上昇の背景にあるのは南アのストライキとウクライナ情勢からの対ロシア経済制裁の可能性。
(パラジウムの需給?JM Reportより)
・ロシアは世界最大のパラジウム生産国であり、供給者である。従来750ドルを超えるとロシアの売りが相場の頭を抑えた。
・ロシアの供給源はノリリスクからかロシアの国家在庫から。市場では国家在庫はほぼ底をついていると、ここ数年言われているが、これに関しては本当のところはロシア当局しか知らない(これを嗅ぎ出すことができればFBIが雇ってくれるというjokeがあるくらい)。ただしその売却量は確実に減少しており、おそらくは市場の見方は正しいと思われる。
・南アは1/23日からストにより実質的に生産がストップ。
(パラジウムNymex投資家ポジションとETF残高)
・南アでのランド建てPD ETFの上場の可能性。プラチナは上場数ヶ月で世界一の残高を集め大成功したがパラジウムは?プラチナは南アおよびその周辺での生産が世界の8割を占めるに対してパラジウムは南アのシェアは37%。南アの投資家がプラチナほどの興味は持たないのではないか。
・中国での自動車販売の伸びが期待され、パラジウムの触媒需要の増大の予測。
・南アのストライキ、ウクライナを巡るロシアと西側諸国との関係により変わるが800ドル越えの可能性も。ただし、このレベルは問題が解決すると維持するのは困難。700-750ドル当たりが今年の平均相場となるのではないか。700ドル割れでは買いたいレベルであり750ドル越えのレベルではロングは注意か。
以上
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