Standard Bank パラジウムETFをヨハネスブルグ証券取引所に上場
(パラジウム)
2014年3月24日に南アStandard Bankはヨハネスブルグ証券取引所に、南アで最初の「アフリカパラジウムETF(AfricaPalladium ETF)」を上場しました。これに続いて4月初旬には「アフリカゴールドETF(AfricaGold ETF)」と「アフリカプラチナETF(AfricaPlatinum ETF)」が上場される予定です。このETFの上場により南アの投資家は貴金属投資の新たな選択肢を得ることになりました。
Standard Bankは2010年に南アで初めてヨハネスブルグ証券取引所にETNs(Exchange Trade Notes)を上場しました。これはゴールド、プラチナ、パラジウムそしてシルバーの価格に連動した商品でした。そして今、国内の生産者との供給契約を結び、当局からの認可も受けてETFを上場することになったのです。ETNとETFの違いはETNは貴金属の値動きだけを追う債券であるのに対して、ETFは実際に現物が買い付けられて保管され、それによって裏付けられられているという点です。投資家のためにその現物は半年に一度数量と品質が検査されます。つまりETFはパラジウムやゴールドやプラチナに直接投資し、そのランド建ての価格を追うということになります。投資家にとっては流動性のある上場商品への投資であり、リスク面でも発行体のリスクはなく、またETF抱えるの他の商品に対するリスクもありません。投資家はまさに倉庫に納められたパラジウム、ゴールドそしてプラチナの現物に投資しているのです。
商品ETFは商品現物に投資することによって、マイナスの実質金利に対する資産保護になります。南ア年金法28条規定では、年金はETFやETNを通じて商品に10%まで投資ができることになっています。AfricaETFの投資家はメタルの現物のデリバリーを受けること、もしくは現金による差金決済もできます。そして南アの投資家にとって大切なことは、AfricaPalladium / AfricaGold / AfricaPlatinumとすべて国内資産という分類に分けられて、外為法の範疇には入りません。南アでは投資家が外国の資産(外貨建て資産)に投資するのは厳しい制限がありますが、これらのETFはその制限に全く影響を受けないのです。これらのETFを所有することによって投資家は地金やコインの保管のリスクや手間を気にすることなく、実際の現物によって保証されたメタルの価格リスクを負うことができます。これらのETFはJSE(ヨハネスブルグ証券取引所)に上場されて、南アランド建てであり、呼び値は1/100オンス単位になります。
パラジウムより先行する形で昨年の4月に上場されたAbsaの南アPt ETFの成功は、下のプラチナとパラジウムのETFの残高推移を比べてみると一目瞭然です。
白線がETF残高、緑線がNymex投資家ポジション、黄線が価格。パラジウムでも2013年にはETFの残高が増加していますが、年初に増えてあとはじょじょに減る動きでした。一方プラチナの場合は2013年4月からの急激な伸びが顕著です。これが南アPtの増加分であり、現在世界一の残高となっています。当然のことながらパラジウムもこの再来を期待しているわけですが、
・プラチナは南アとその周辺の生産高が世界の8割を占め圧倒的であることに対してパラジウムは世界一の生産国はロシアであり、南アは世界No.2であること。
・年金のコモディティへの投資はポートフォリオの10%に限られ、その大きな部分がもはやプラチナETFに投資されていると考えられること。
・南アランドがAbsa PT EFPの上場時は1米ドル=9.10ランドであったのに対して、現在は10.90ランドとほぼ歴史的安値となっている。(ランド建てパラジウムは2001年につけた歴史的高値R8700にほぼ近いレベル。プラチナ上場時はその高値からは30%も低いR13,500だった)
これらの状況を考えるとパラジウムがプラチナと同じように爆発的なヒットになるとは考えづらいですね。ただプラチナに入った資金のいくらかがパラジウムにスイッチということは十分にありえる話。そして、やはり現在も続く南アのストライキという条件もあり、これからじょよに残高が増えていくものと期待しています。
(パラジウム)
(プラチナ)
以上
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