Tocom プラチナ6年ぶりの取組高- プラチナマーケットのポジションはどうなってる?
皆さんよい夏休みをとられたでしょうか。僕は先週13-15日で休みをもらい、思いっきり遊ばせてもらいました。と言っても僕の遊ぶは「山を走る」「ロードバイクで峠を走る」ばかりでしたが。笑。
じわじわとTocomのプラチナの取組が増加してきています。8/18日現在は85712枚(42.9トン)でこれは2008年1月以来の取組高です。
(Tocom取組高と出来高:年初来)
2014年年初からの動きをみると4979円と5000円手前まで上昇してから、実際の南アストライキ発生(1月23日)から大きく売られて、(まさに噂で買って事実で売る、ですね。)4525円まで下落、これでまず一度取組が増加。やはり日本人はBargain Hunterです。その後じわじわとプラチナは再び上昇、3月に再び4952円をつけます。この時点で1月の安値を拾った投資家は利食い売り。64000枚あった取組高も50500枚まで急減しました。下がったら買い、上がったら売る、このときに儲けた投資家は多かったと思われます。その後もストライキは続き、弱気な論調が目立つゴールドより明らかにプラチナは個人投資家には魅力的に映ったようです。3月以降プラチナに対する買いはじわじわと続き、7月に再び4975円まで上昇したさいに少し利食い売りが出て取組高も減少しましたが、その後はほぼ一本調子で増え続けています。取組高のうち、非当業者(つまり一般投資家)のポジションをみてみると売りが44,376枚(22.2トン)、買いが77,448枚(38.7トン)で、33,072枚つまりネットでは約16.5トンの個人投資家のロングが積みあがっていると考えることができます。
(Tocomプラチナカテゴリ別取組高表)
(Tocom取組高と出来高:過去10年)
一方Nymexの取組高(Open Interest)に目を向けると8月12日発表のCFTCの数字によれば、70,623枚(約109トン)あり、そのうち投資家のロングは49812枚(約77トン)となっています。総取組高における投資家ロングの占める割合が70%もあり、これは非常に高い割合だといえます。TocomとNymexをあわせると世界の投資家の先物市場でのプラチナロングポジションは93.5トンということになります。
そしてもう一つ、投資という観点から無視できないのが、プラチナETFです。2013年8月に南アでのプラチナETFが上場されてから、その残高は増加し続けており、現在は2.843mil onz、約88.4トンあります。
これをすべて足すと
Tocom 16.5トン、
Nymex 77トン
ETF 88.4トン
となり、合計約182トンのロングが現在プラチナの投資家によって持たれているということになります。過去に投資家ポジションが大きく膨らんだ例を振り返ると、1999年にTocomの史上最高取組高が47万枚を記録しました。このうち半分が投資家のロングに当たるとすれば117トンのロングをTocom投資家が抱えていたことになります。Nymexの投資家ロングの最大値は2013年2月の57000枚(約88.6トン)というものです。ETFが存在する現在、確認できるロングが182トンというのはおそらく史上最高ではないかと思われます。一年間の鉱山生産量にも匹敵するだけのロングが存在しているというこの状況は、やはり今後のプラチナの上昇を阻む要因となるでしょう。これまでの例でみるとドル建ての1500ドル、円建の5000円は利食いが出てくるよいターゲットになりそうです。かといって1400ドルを割り込んで大きく下がるとも思いません。もし1400ドルを割り込むことがあれば、生産コストを考えても長期的に買いのレベルだと考えます。ということはしばらく1400-1500ドル辺りのレンジが続きそうということになりますね。
★池水氏の著書『「金投資の新しい教科書」/日本経済新聞出版社』好評発売中!!
https://goldnews.jp/count2.php?_BID=3&_CID=16&_EID=773