金現物、買うなら今でしょ!
すみません、流行にのらせていただきました(笑)。
あと一年で消費税が上がります。その前に何をなすべきか。考えて見ました。結論はずばりタイトル通り。「金現物買うならいつ?今でしょ!」ってことです。
「消費税上げと金」
■金と消費税
金は現物を買うときに当然消費税を払います。そしてそれを売却すると消費税を受け取ることができます。個人として自分が消費税を受け取れるということに、やっぱり金は特別なの?と思う方が多いと思います。でも実はこれは特別なことではないのです。なぜ特別に感じるのでしょうか。それは我々一般消費者が、買うというのは当たり前の行為ですが、我々が売りの主体になるというのはめったにないという事情があるからです。金の場合は、それが例外的にありえるということです。それも買うときと同じように売れるというのはほかの例はほとんどないと言えるでしょう。
我々が物を買う時はほとんど最終的に消費し、それをまた売るという行為は一般的ではありません。ところが金や他の貴金属は、投資用の地金を買った場合、それをそのままの形で売るということが一般的です。我々消費者がまず金を買って消費税を払ったら、その消費税を受け取った販売業者はそれを国に納めます。そして逆に我々が金を売った場合、明示されていなくてもその価格には消費税が含まれています。つまり我々は、買ったときの販売業者同様、売ることによって消費税を受け取っているのです。実はすべての商品にとってこれは同じことなのです。買った時には消費税を払い、売った時には消費税を受け取るというのが大原則です。
問題はここから先です。業者であれば、金を売った時に消費者から受け取った消費税と逆に金を買って払った消費税を総計して国税局に申告し、実際の受払をします。業者は最終的には自分たちで金を消費せず、それを仕入れて販売するだけであれば、消費税は受け取っても払っても結局は税務当局に対する支払い・還付を通じてゼロになるはずです。消費税は最終的にその商品を消費する人が負担するというのが大原則なのです。金地金は基本的に我々個人が買ってもそれを消費することはまずありません。もちろん長期的に保有するというのが基本だと思いますが、それはそのまま消費されるわけではないのです。いつかは売り戻すということになるでしょう。とすればそのときに消費税を受け取ることになり、次にその金にたいする消費税を払うのは次に買う人ということになります。金の場合はこうやってその現物を持っている間だけ消費税を負担していると言えます。
■受け取った消費税の納税義務は?
さてここが味噌なのですが、我々が金地金を売ることによって受け取った消費税は、本来ならば税務署に申告し納付するべきものですが、その課税対象になるのは個人事業者(納付免除枠1000万円)と法人ということから、個人にはこれを申告納税する義務はありません。買ったときと売ったときの税率が同じであれば、買う時に5%払って、売るときに5%もらえるということで、有利も不利もありません。ところが消費税が上がることが決まっているとどうなるでしょう?これは次章で説明しましょう。
■消費税上げ前は金投資のタイミング
2014年に5%から8%、2015年に5%から8%に消費税が上がることがほぼ確定しているということがわかっているというのは投資家にとっては希有な状況だと言えます。第一に言えることは2013年のうちに金を買うと相場が同じであれば少なくとも2014年に買うよりも3%、2015年に買うよりも5%も安く金を買えるということになります。いつか金を買うという考えであるのならば消費税が上がる前に買うべきです。
■税率の差を狙った短期的取引は可能か?
極端な例で話しをしましょう。3月31日まで消費税5%、翌日4月1日から8%になるとしましょう(実際そうなると思いますが)。3月31日には金価格+5%で金を買い、翌日4月1日に売ると金価格+8%で売れることになります。つまり3%は文句なしに多くもらえます。グラム5000円だとすれば150円。1kgのバーだと15万円も違ってきます。
考えなければならないのは、まず小売価格の売買スプレッド。80円あるとすれば買った瞬間に80円のコストを払っていることになります。そして一日の価格変動のリスク。こればかりは誰にもわかりません。もし相場が3月31日から4月1日の24時間全く動かないとすれば、150-80=70円の利益が残ります。単純に計算するとこの24時間に金価格が70円以上下がると損益はマイナスになります。一晩で70円動くということは確率的にはそれほど大きくないけれども、ないことではありません。
また潜在的なリスクとして、小売価格の値付けの「味付け」が上げられます。消費税上昇前の駆け込み需要が盛り上がり、個人の買いが増加すると当然のことながら、現物は買われてプレミアムが上がり、小売りの価格がロコロンドンに比べて普段よりも割高になる可能性があります。そして実際4月1日になって、今度は個人の売りが殺到するとなれば、小売りの買い価格が普段よりも割安になる可能性も当然のことながらあります。80円の売買スプレッドは変わらなくても、そのスプレッドが上にずれたり、下にずれたりするということです。たとえば中心マーケット(ロコ東京の中心値)が5000円とすれば、中立的な小売価格は買い4960円-売り5040円です。しかしもし個人の買いが多いと思えばこれが買い4980円売り5060円となり、売りが多いと思えば買い4940円売り5020円となることもあり得るのです。
■金の短期的取引
金の短期的投資は現物に関する限りコストが高く、あまり効率がよいとはいえません。もし短期的に金相場で勝負をしたいと思うのであれば、先物取引やCFDといった形態の取引をおすすめします。売買スプレッドが狭く、証拠金によるレバレッジが効きますので効率的な取引ができます。これはまさに為替のマージン取引と同じようなものと考えていいでしょう。乱暴に言えば短期的な上げ下げで利益を狙う取引であればそれは為替でも金でも株でもとにかく動くものであれば何でもいいのです。一番動きそうなもの、一番取引コストが安いもの、一番資金効率のよいものを選んで取引すべきでしょう。
■長期的なポートフォリオの考え方
日本人のほとんどの人の資産は大部分が円建ての預金、株式、債券などであるのは当然でしょう。しかし、銀行の破綻がもはやあり得ないことではなくなり、まで郵貯や銀行に預けておけば安心であった時代は終わり、株式や債券もその信用の根源である発行体が破綻し紙切れになることが現実的にありえます。このリスクをヘッジするためには、発行体のリスクのない、そのもの自体の価値が認められているものを持つしかありません。それはまさに「物」です。不動産しかりそして金しかり。不動産は流動性の問題(売りたい時に売れるか?)、そして保有コストの問題(固定資産税など)、あまりに高価すぎるという問題があります。一方ゴールドは小口化が可能で保有にもコストはほとんどかかりません。
■買うなら今でしょ
消費税が上がる前に買うべきです。これは短期的な視野というよりもより長期的に考えてもそうなのです。消費税は5%から10%へ上がることが決まっています。しかし果たして消費税10%で打ち止めとなるでしょうか?
日本国の借金は2013年3月時点で940兆円くらいあり、このまま行くと2014年にも1000兆円に達する勢いです。年間の国家会計では税収42.3兆円に対して歳出90.3兆円と収入が支出の半分以下という状況なのです。足りない44兆円は国債の発行により賄っている、つまり借金をしている状態です。毎年40兆円以上の借金が増え続けているのです。消費税を10%に上げてもまさに焼け石に水、借金は減りません。このまま行くと借金は増え続けます。財政健全化のためには歳出の大幅削減、そして歳入のさらなる増加が不可欠です。消費税は10%で止まることなく今度も上昇して行くことはまず間違いないと私は考えます。5%どころか、世界の他の国々並の20%になれば、金の税金メリットは15%になることになります。財政健全化がなされなければ日本の財政破綻、円安にハイパーインフレという考えたくもない未来が見えます。そしてどちらのケースにしても金は今買いという結論に達します。
以上
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