インドのゴールド売上税の影響 etc
今週はインドの話題をいくつか。特に重要なのはインドのゴールド売上税の話です。
インド政府が2月29日に突然ゴールドの売上に対して1%の売上税を課すと発表しました。これは大きなショックをインドの宝飾業界に与えました。インド宝飾業界は、この政府の発表に抗議の意を表すため3月2日から全国規模の「ストライキ」を行いました。このストライキのために、インド全土でゴールドの販売がストップしてしまいました。そして、ようやく3月8日、インドの宝飾業界団体であるIndia’s Gems and Jewelry Trade Federationによると、政府との妥協が図れたようです。そして、その結果は驚くべきものでした。
このJewelry Trade Federationが政府に対して出した提案は、今後ゴールド地金(インゴット)を直接消費者に売るのをやめるということです。現在に至るまでこれはごく普通の商慣習で、個人投資家はゴールドインゴットを投資商品として宝飾店で購入していました。この団体の会長は「この決定はゴールドの輸入を減らすものですが、おそらく宝飾業者の売上の4分の1に影響を与えます。」と語っています。インドの宝飾業者に年間輸入される900トンのゴールドのうち、250トンから300トン以上が100グラムバーの形で輸入されます。そのため、この宝飾業者の決定は年間300トンの輸入を減らすことになり、これは2015年の世界のゴールド需要の7.1%に当たります。
これが額面どおりに行われるとすれば、世界のゴールド市場に大きな影響を与えるはずです。今後、インドの宝飾業者が果たしてこの決定どおりに行動するのかどうか、非常に興味深いところです。
「インド、ゴールドディスカウント」
1月20日以降、インドのゴールド現物が大きくディスカウント(ロコ・ロンドン価格よりも割安)になっています。インドで現物のディスカウントが起こるのは過去2年の間で3回目の逆転現象ですが、今回は2月下旬から30ドルものディスカウントが進んでいます。各地のディスカウントやプレミアムはその時の現物の需要と供給の関係を示しているものですが、今回の30ドルまでものディスカウントは、ゴールドの価格が急激に上昇したこととインド政府がゴールドに対する税金を上げたことが背景です。
「大きく増加するインドのゴールド・ドーレ輸入」
ゴールド地金輸入に対する10%の関税の結果、2015年のインドのドーレ(低品位のゴールド地金)輸入は前年比300%も伸び、300トンもの輸入になりました。これをゴールド地金に精錬すると約200トンのゴールドに当たります。
インドは中国とともに世界最大のゴールド輸入国です。しかし、今後のインド政府の方針如何で、彼らのゴールド輸入量は大きく減少する可能性があります。そのインパクトはゴールド相場に多大な影響を与えるでしょう。今後の成り行きを注意深く見ていく必要があります。