年末年始はまたターニングポイントとなるのか?
2017年、明けましておめでとうございます。今年もまた肩の力を抜いて、貴金属のマーケットに関するあれやこれやを書いて行こうと思っています。よろしくお願いします。
さて新年早々ですが、あれだけ動かなかった相場が年明けと同時に大きく動き出しました。このところ、毎年、年末年始には相場のターニングポイントになるような動きが続いている、と昨年は頻繁に書いてきましたが、今年もまた年初からそれを思わせるような動きが出てきています。どうやらやはり年が改まって、昨年年末までとは違った相場が始まっています。
これまでドル建てのゴールドとドル円がきれいに打ち消しあう動きが、11月の米大統領戦以来続いてきました。ゴールドが1300ドルから1130ドルまで下落して、ドル円が101円から118円まで上昇、結果的に円建てはほぼ3ヶ月にわたって4300円前後からほぼ動かずという状態が続いたのです。ところが、年が明けて東京市場の始まりとなった1月4日、円建てゴールドはいきなり100円高の4400円を超えました。これは2016年9月上旬以来のレベルとなります。これまで打ち消しあってきたドルとゴールドが、ドル高・ゴールド高とこれまでとは全く違った動きを見せています。ドルは依然としてドルインデックスが103を守り、歴史的にも高いレベルを維持しています。変化があったのはゴールドです。これまではこのドル高のために売られるプレッシャーが強かったのですが、明らかにこの1100ドル台前半では下げ渋りの動きが出ており、ドル高にもかかわらずのショートカバーや現物実需の買いが出てきており、純粋なドル高要因によるゴールドの価格の下落には歯止めがかかってきたようです。
しかし、さらに大きな動きを見せたのはシルバー、PGMです。シルバーは年末には金銀比価が72.60:1まで拡大していたものが、現在は70:1まで縮小しています。
そして、圧巻はプラチナとパラジウム。年明けと同時にこれまでの低迷が嘘のように大きく上昇を始めています。年が変わり、投資家のマインドが新しくリセットされたこと(少し抽象的ですが、欧米の投資家はカレンダーイヤーでリセットされます)、プラチナの900ドル、パラジウムの650ドルにある下値警戒感からの下げ渋りがあり、そこを大きく割り込むことがなかったこと、そして特にパラジウムには、(ガソリン)自動車の売り上げが中国・米国で好調であったにもかかわらず売られてきたこと、南アのPGM生産量は昨年は10%以上の減産になったというGFMSの見方も発表されたことがこの動きの背景にあると思われます。突き詰めるるとやはり昨年後半の売られ過ぎの反動が年が変わって出てきているというところではないでしょうか。プラチナはこの年初一週目にして5%、パラジウムは10%の上昇を記録しています。
米大統領選挙からのドルの上伸に対してのメタルは売られていましたが、ドルの動きがそろそろ頭打ちとなり、そして、メタルの下値もそろそろ底打ちになったところからの新しい年の始まりです。1月20日にトランプ大統領になってからまた別の展開があるかもしれませんが、取り敢えずこの年初はやはりターニングポイント、売られ過ぎの買戻しから始まっています。