ゴールドは独立記念日までに1300ドルを超えるのか?
今週はICBC Standard BankアナリストのTom Kendallの短期的なゴールドの見通しを紹介します。
ゴールドは夏の静かな相場に入りつつあります。Summer doldrums(夏枯れ)というマーケット専用用語があるくらい、通常では宝飾品需要の中心地である中国、インドからの需要が細り、マーケットはとてもスローになります。
過去5年と10年の6月と7月のドル建てゴールドの平均パフォーマンスを見てみると、需要の細りがそのままマーケットが動かなくなる原因と考えられるかもしれません。
●過去5年の6月と7月の価格変動はそれぞれ0.67%と0.08%。
●過去10年では0.17%と0.78%。
もちろん平均は年によっての大きな違いを隠してしまうことがままあります。過去5年の6月のパフォーマンスのレンジは、昨年のプラス8.33%から、2013年のマイナス11.04%と大きく異なります。
今年はどうでしょうか?上げ?下げ?それとも閑散で動かない?
弱気要因:
●もうすぐ発表されるインドのGST(物品&サービス税-日本の消費税に当たるもの)が宝飾品にかける税率。現地の業界筋は2.5%から5%を希望しているが、もし政府がもっと高いレートを賦課してくれば、ゴールドの価格は影響を受けることになろう。
●地政学的なリスクにもかかわらず、世界の株式市場の堅調。
●原油価格の伸び悩み。
●そして6月のFOMC。25bpの利上げは既に十分織り込み済みではあるが、もし短期金利がより上昇すれば、金利のほとんどないゴールドの立場より厳しいものになる。
強気要因:
●欧州に対する見方が良くなったために、ユーロは大きくリバウンド。ドルインデックスは短期的には持ち直すかもしれないが、長期的には下落トレンドが鮮明。
●FRBが25bpの利上げをするということがあまりに織り込み済みのため、もしそうならなかった場合の反動は大きく、ゴールドにとっては大きな強気材料となる。しかし、FRBが金利を上げない理由は何かあるだろうか?雇用の数字やその他の経済指標を見る限り、それはない。しかし、インフレが減速していること、もしくはインフレが高まらないことはまだ大きな気掛かりである。PCEコアデフレータは3月に1.6%まで下落した。また、時間当たりの給料は下落基調にあり、FRBが金利を上げるためには逆方向に動いている。
●米国債務上限の期限がまた迫りつつある。現在、資金的には異常な状況である上に大統領が与党からも支持を得られてないという事実を考えると、とんでもないことになる可能性がある。
これら弱気と強気の見方がマーケットを相殺し、ゴールドが今後数ヶ月動かない可能性があるが、そういった悲観的な見方は取り敢えずしないでおく。
最近のComex 投資家ロングポジションの利食い売りがあったことは、マーケットがFRBの金利据え置きの可能性とドルのトレンドを勘違いしている可能性があります。もしどちらかに間違うとするならば、強気サイド。7月4日の独立記念日までにゴールドは1300ドルを超えている?