ロシア中銀のゴールド買い
ロシア中央銀行がゴールドを買い続けています。ここ数年、数ある中央銀行の中でもロシア中央銀行は突出してゴールドを買い続けています。
IMFへの報告によると、過去2年間でほぼ一年200トンものゴールドをその外貨準備に加えています。先月9月には34.2トンのゴールドを購入し、今年の累積購入量は163トンとなり、今年はまだ3ヶ月あることを考えると200トン以上の購入の可能性は非常に高いと言えるでしょう(時々全く購入しない月があったりしますが)。
これによりロシアのゴールド保有量は1779トンとなり、国別では世界6位のままですが、第5位の中国との差は63トンで、おそらく今年中もしくは来年の早い時期にも逆転しそうな勢いです。中国はこのところ全く買っていないとIMFには報告しています。
ロシアは世界第3位のゴールド生産国であり、2016年の生産が253トンであったということは、その8割近くを中央銀行が買っているということになります。
ロシアが外貨準備におけるゴールドの割合を増やすということは、裏返って言うと米ドルへの依存を極力減らし、西側経済システムから一歩引いた形を作ろうとしているのかもしれません。ロシアは中国に石油と天然ガスをロシアが中国に大量に輸出しており、現在も両国の間の国境を越えるパイプラインの工事が進んでいます。この両国は明らかに米国を中心にした西側経済とは違う新たな経済圏の建設に邁進しているようです。中国の「一帯一路(One Belt One Road)」という新たな経済圏構想はその象徴的な動きでしょう。
そのような中、取り敢えず米ドルの代わりになり得るだけの信頼を持つのはゴールドであり、ロシアが米ドルからゴールドへその資産を移すのは最善の策と思われます。2016年年初のルーブルの暴落にロシアが耐えることができたのは、やはり大量のゴールドをロシア中央銀行がゴールドを持っているという安心感があったからです。ゴールドを持っているという安心感がルーブルを支えたのだと思います。ロシア政府の外貨準備におけるゴールドの割合は17%。まだ増やしていきそうですね。