アンデスって なんです?国立科学博物館で「古代アンデス文明展」開幕!
キーワードアンデス文明
東京・上野公園内にある国立科学博物館では2017年10月21日~2018年2月18日の期間で「古代アンデス文明展」を開催。同展は1994年「黄金の都シカン発掘展」、1999年「黄金王国モチェ発掘展」、2006年「世界遺産ナスカ展」、2009年「シカン展」、2012年「インカ帝国展」とアンデスをテーマとして開催してきた展覧会とは異なり、アンデス世界を通史で総覧できる構成が特徴の集大成的な展示会となります。
南米大陸の太平洋岸に展開した、時間的にも空間的にもあまりに巨大で複雑な文明の全体像を、私たちはまだほとんど知りません。
時間的には先史時代から16世紀にスペイン人がインカ帝国を滅ぼすまでの約15000年間、空間的には南北4000km、標高差4500mに及ぶ広大な地域で、ナスカ、モチェ、ティワナクなど多種多様な文化が盛衰を繰り返しました。
本展覧会では、アンデス地域に人類が到達した先史時代から、16世紀にスペイン人がインカ帝国を滅ぼすまでの約15000年間に多様な環境に応じて花開いた9つの文化を取り上げ、黄金製品、ミイラ、土器など総数約200点で紹介します。
■古代アンデス文明展紹介動画
まずはこちらの動画からご覧ください。
■アンデス文明とは何か? という疑問を思い浮かべながら見学を
百聞は一見にしかず。ここからは展示会よりGOLDNEWSだけに黄金関連を中心にしながら、他にも気になった作品をご紹介していきます。
【自分の首を切る人物の象形鐙型土器】
アンデス文明において「切断後の人体」の表現は見られるが、進行中の殺傷好意を描いた事例は、この作品を含め現在までに2例しかない。耳飾りや全身の刺青から見るに宗教的指導者であろう。
【儀式用ケープをまとった人間型超自然的存在の像がついた土器の壺】
牙を持つ人間型超自然的存在が儀式用装束をまとい、ヘビの胴にネコ科動物の頭がついた生物を両脇に従えて経っている場面を表現している。
【十四人面金冠(レプリカ)】
六角形のアナは籠の目で、首級(切断された首)が多数詰められた籠を表現している。
【アシカをかたどった鐙型単注口土器】
モチェの人々はペルーの海岸部に生息するアシカを木の棍棒で狩って、食料やものづくりの材料として利用した。アシカはモチェの宗教美術にも登場し、単なる食料以上の存在だったと考えられる。
【裸の捕虜をかたどった鐙型注口土器】
捕虜となり首にロープをまかれ、後ろ手に縛られている姿を表現している土器。耳飾りから地位位の高い戦士であることがわかる。
【ネコ科動物の毛皮を模した儀式用ケープ】
ネコ科動物の毛皮を模したように、長方形の金の薄板と円形の吊り下げ飾りが下地の布に取り付けられている。
【金地に象嵌された人面系の装飾品】
人間の頭部をかたどった、球体をつぶしたような形の金製品。多数の飾りと一緒に無な飾りを構成していたと思われる。
【同じ人物の人生の3つの時期の顔を表現した肖像土器】
エリート男性の人生の3つの時期の顔を写し取ったもの。左から右へ歳を重ねていっている。
【象嵌のマスク】
保存状態の良い、めっき(?)のマスク。目(くじゃく石?)と歯(貝殻?)は象嵌細工。額と耳に点々とあけられたアナは、このマスクにひさしや別の耳飾りも付いていた可能性を示唆している。
【トウモロコシの穂軸の姿をした神を描いた土器】
牙のある神がトウモロコシの穂軸の形をした姿、あるいは穂軸の中に身を埋めている姿をかたどっている土器。トウモロコシはアンデス全体で神聖な植物である。
【死んだ男性と生きている女性の性行為を描写した鐙型注口土器】
死体(骸骨)が生きた女性と性行為を行っている描写の土器。モチェの人々は死を生命の一段階と捉え、死者が生者と相互関係を継続する生活の重要な一部となっていた。
【戦士の像付き黄金の耳飾り(レプリカ)】
シバン王が身につけていた一対の耳飾りのうちのひとつ。シバン王の埋葬品のなかで、もっとも貴重なもので、まぎれもなく新大陸の金工芸が生み出した最高傑作のひとつといえる。
【カモを持つ男性の象形土器】
左上にカモを載せている「カモの王」という呼び名でも知られる写実的で見事な土器。ティティカカ湖のパリティ島で発見された多数の見事な時からなる儀式用供物のうちの一点。
【カボチャ状の胴を持つ男性の象形土器】
胴体部分はカボチャをあらわしているのかもしれない。顔の特徴からアマゾン低地の住人であることを示している。
【多彩色の水筒型壺】
ワリ帝国の拡張初期に作られた器。高地で勢力を拡大したワリがペルー海岸部のこの一帯に到来し、ワリがこの地で支配力を持っていたことがうかがわれる。
【金の胸飾り】
打ち出し細工で形づくった細長いお椀形のパーツ65個を、小さな穴あき玉を通した針金で繋いだ胸飾り。全体が高純度の金の薄板で作られている。
【打ち出し技法でシカン神を描写した金の飲料容器(アキリャ)】
一枚の金合金の板を丁寧に叩いて作り出した容器。目尻がつり上がった特徴的な目を持つシカン神が描かれている。
【二種類の超自然的存在の4つの顔がついた壺】
よく似た2種類の牙を持つ超自然的存在の顔が4つ、彫刻のように形づくられ、彩色されている。
【装飾付きの壺】
シカンの顔があり、その両脇にはウミギクガイの1種が左右対称に象られている。
【合金金製の小型人物像(男性と女性)】
生贄の儀式で子供たちとともに神々に捧げられた小像。スペイン人が金を徹底的に狩り集めて融かしてしまったため、残っているインカの金製品は比較的小さいものが主体で数も少ない。
ここで紹介した作品は展示のうちのほんの一部です。なんとも不思議で愛らしい土器たちに目を奪われ、何千年経っても輝きを失わないゴールドにため息し、そして今回最後に展示されている三体のミイラには驚きを隠せないと思います。ぜひ、本展示まで足を運んでいただいて、じっくりご覧ください。
そうそう、図録・お土産も充実していて、可愛いものも沢山です。
■「古代アンデス文明展」開催概要
会期:2017年10月21日~2018年2月18日 ※休館日は毎週月曜日
会場:国立科学博物館
開館時間:9:00~17:00(金曜日、土曜日、11/1、11/2は20:00まで)※入場は各閉館時間の30分前まで
入場料:一般・大学生1600円、小・中・高校生600円、金曜・土曜限定ペア得ナイト券2000円(ペア券以外は前売り券あり)
- 撮影者:GOLDNEWS
- 場所:東京・台東区 国立科学博物館