金投資への関心、危機時並みの高水準に、初めての購入者数はパンデミック時を上回る勢い
2025年11月6日・ロンドン - 世界有数のオンライン貴金属取引プラットフォームであるブリオンボールトの最新データによると、先月金価格が新たな史上最高値を更新したことを受けて、初めて貴金属を購入する個人投資家数がパンデミック時を上回る水準に達し、金投資への心理が極端な危機局面でしか見られないレベルに急上昇していたことが明らかとなった。
10月の金相場はトロイオンスあたり500ドル幅で上げ下げしつつも上昇基調を維持し、月間平均価格としては今年9回目となる史上最高値を更新し、ついに4,000ドルを突破した。
ブリオンボールトのサイトアクセス数は、同社が現在顧客のために総額76億ドル(58億ポンド、66億ユーロ、1.4兆円)相当の貴金属を保管しているなかで(顧客の9割は西欧または北米在住)、2008年10月以来で最も多い水準となった。これはリーマン・ブラザーズ破綻を機に世界金融危機が全面化した時期に匹敵する。
新規口座開設数も過去12か月平均の3倍に急増(前年比+194.3%)、パンデミック以降で最も多く、2011年8月を除けば史上最高を記録した。2011年8月といえば、ユーロ圏の債務危機がスペインやイタリアに波及し、米国債が「リスクフリー」の信用格付けを失い、イギリスでは200年以上ぶりの大規模暴動が発生した時期である。
ブリオンボールトのリサーチダイレクターのエイドリアン・アッシュ氏は次のように述べている。
「ブリオンボールトが創業して20年、金投資のセンチメントがこれほど強まったのは、世界金融危機、トランプ氏の初当選ショック、そして新型コロナ・パンデミックの時だけだ。
現在の2025年には明確で差し迫った『パニック要因』が見当たらないため、金価格の上昇をFOMO(取り残される恐怖)に駆られた『バブル』と見る向きもあるだろう。しかし、確かに一部では高値に飛びつく短期資金も見られるものの、根底にはドルや西側諸国の債務、地政学的支配構造といった既存秩序への信頼が揺らいでいるという、より深い不安心理がある。
さらに今の特徴は、西側の個人投資家がこの20年間の危機を通じてすでに相当量の金を保有していることだ。そのため利益確定売りも新規買いも歴史的な高水準で拮抗しており、全体の純需要は抑えられ、いわゆる『金投資ブーム』の様相は薄れている。」
10月の金価格上昇を受け、ブリオンボールトでは売却を選ぶ投資家数も過去最高を記録(前月比+28.2%)。一方、購入を選んだ投資家数はそれを上回る44.0%増となり、2020年3月のコロナ禍ロックダウン期以来の水準に達した。
これにより、投資家心理を実際の売買行動から算出する独自指標である「金投資家インデックス」は3.0ポイント上昇の57.9を記録。2021年2月以来の高水準となり、過去8か月で最大の上昇幅となった。
この指数は、買い手と売り手の数が完全に一致した場合を50.0とする。最高値は2011年9月の71.7、次いで2020年3月の65.9、最安値は2024年3月の47.5だった。
数量ベースでは、ここ2か月続いていた小幅な売り越しが反転し、ブリオンボールトの顧客保有金量は44.0トンに回復。評価額では過去最高の56億ドル(43億ポンド、49億ユーロ、1.1兆円)に達した。
対照的に銀は、ネットで売却超過となり、顧客保有量が1.0トン(820kg)弱減少して1,154トンに。評価額は過去最高の18億ドル(13億ポンド、15億ユーロ、2,790億円)だった。
ドル建て銀価格は10月に2か月連続で月間平均の史上最高値を更新し、2011年4月の水準を超えてトロイオンスあたり49.43ドルで推移した。
「銀投資家インデックス」は3.6ポイント上昇の58.7となり、2021年2月以来の高水準を記録。過去最多の売却者数を、同じく過去最多となった購入者数が上回ることとなった。
アッシュは次のようにコメントしている。
「金と同様に、銀投資のセンチメントも当初は今回の上昇局面に出遅れていた。それは、利益確定売りが優勢だったためだ。
今月に入り10月の急増からは落ち着きを見せているものの、新規投資のペースは依然として前年を大きく上回っている。」
以上
連絡先: ホワイトハウス佐藤敦子
直通電話番号: +44(0)20 8846 3804
メールアドレス:atsuko.whitehouse@bullionvault.com
ブリオンボールトの金・銀投資家インデックスについて
ブリオンボールトの金・銀投資家インデックスは、個人投資家の地金現物の投資傾向を表す、世界でも数少ない指標である。24時間取引が行われている、ブリオンボールトのオンライン市場で取引がされたデータを基に算出され、それぞれのインデックスは、月間でその地金の購入が売却を上回ったネットで購入した投資家の数と売却が購入を上回ったネットで売却をした投資家の数のバランスを表している。そして、この購入者数と売却者数が完璧に一致した際を50として表示されている。
金投資家インデックスは、新型コロナウィルスが世界的に広がった2020年3月に65.9と10年間の最高値を記録し、2024年3月には47.5と記録的な低水準に下げていた。
ブリオンボールトが発表するデータは、他の金銀地金市場のデータを補完し、世界最大の個人投資家へ行ったアンケート等の「意図」ではなく、実際に取引されたデータを基に算出されている。詳しくは、ロンドン貴金属市場協会(LBMA)のAlchemist誌の2013年の記事を参照。
ブリオンボールト社について
ブリオンボールトは、金・銀・プラチナ・パラジウム地金現物所有サービスをオンラインで提供している世界でも有数の英国企業。今年4月で20年を迎える専門市場の低コストと深い流動性とセキュリティーを提供するサービスを利用して、現段階で175か国からの120,000人を超える個人投資家が76億ドル(58億ポンド、66億ユーロ、1.4兆円)相当の地金を保管ている。また、ブリオンボールトのサービスは自己投資型個人年金の英国のSIPPや米国のIRA口座、信託口座、企業やチャリティー団体が現物金地金を保有するためにも使われている。
ブリオンボールトは、下記サービスを提供している。
• オンラインとモーバイルで金・銀地金現物を24時間取引し、即座に決済。
• 米国ドル・ユーロ・英国ポンド・日本円の利用が可能。
• 地金現物を格安費用で、ロンドン、チューリッヒ、ニューヨーク、シンガポール、トロントで特定保管。
• 日々オンライン上で、顧客所有の金・銀現物が保管されていることを証明するディリーレポートを公表。
ブリオンボールトは、2008年から専門業界団体であるロンドン貴金属市場協会(LBMA)の正会員であり、2017年には、鉱業業界が支援するワールド・プラチナム・インベストメント・カウンシルのオンライン保管金銀地金パートナーに選ばれる。BBC、Handelsblatt、Bloomberg、日経ビジネスなど、英国内外の主要メディアで定期的に引用されているブリオンボールトは、2022年に3度目の英国企業女王賞を受賞している。
さらに詳細は、http://gold.bullionvault.jp






