Vol.3 息子の誕生記念の金コイン
つい最近のこと、数年前に紛失したと思っていた金のネックレスが見つかって、胸をなでおろすという出来事がありました。どうして胸をなでおろしたかというと、実はこのネックレス、15年前に息子が誕生した記念に「成人したらプレゼントしよう」と購入した金貨と一緒に、自身の記念にもと買ったものだったからです。それを紛失してしまうなんて…と自己嫌悪に陥っていました。それが出てきて、本当にほっとしました。
ヨーロッパでは子供の誕生や洗礼の記念に金貨を贈る風習があるという話をどこかで読んだことがあります。スイスでは生まれたばかりの赤ちゃんに金貨を握らせると、その子は一生豊かに暮らせるという言い伝えがあり、子どもが誕生したら金貨を贈るのだそうです。古代?中世のヨーロッパでは戦乱が繰り返され、経済が混乱しても子供が生きていけるように普遍的価値のある金貨を贈っていて、それが習慣・風習になっているのだという話もありました。
そういえばイギリスでは、先日、ウィリアム王子とキャサリン妃の第1子誕生を祝って英王立造幣局がロイヤルベビーと同じ日に生まれた赤ちゃんに2013年と刻んだ1ペニー銀貨を贈呈するというニュースが報道されていました。これは、赤ちゃんの誕生祝に銀製品を贈るイギリスの伝統にのっとったもの。ヨーロッパ諸国では、子どもの誕生を祝福して、また、子孫を守るために金や銀を購入する風習があって、その伝統が大切にされているのですね。守るべき伝統は淡々と守り続ける欧州人の気質に深い精神性を感じます。
日本にはそのような風習はないと思うのですが、15年前、私たち夫婦もただ純粋に子供の誕生に感動し、この出来事を何かの形で記念として残したいと考えました。誕生日に毎年一枚ずつ金貨を買って、成人式にプレゼントしようなんて話もしていましたが、残念ながら手元のコインは一枚です。
当時は仕事も今と違っていて、金の価格について考えたことはありませんでした。でも、先日、15年前の金価格を調べてみてビックリ!何と、1グラム1,700円でした。最近、金が値下がりしているとはいえ、今日の価格が1グラム4,300円。コインの購入価格は覚えていませんが、価値としては2.5倍以上です。
息子が20歳になる5年後、はてさて金価格は一体いくらになっているのでしょうか。
ただ、母親としては、息子がどうなっているかの方が気になりますが…