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1973年から2013年までの 金と主要資産の年間収益率の比較(米国ドル建て)

2013年は、金価格が24%以上の下げとなり、32%下げた1981年以来の下げ幅となった。そして、米国ドル建てにおいては、金は他の主要資産と比較しても最も低い収益率となった。
今回、ブリオンボールトのリサーチ主任エィドリアン・アッシュが、米国における主要資産の1973年以来の年間収益率データをまとめた。1973年は、ドルを世界の基軸通貨として各国通貨の交換比率を定めた、固定相場制のブレトンウッズ協定が終結した年である。投資収益率は、この協定終結後のインフレ急騰の影響を受 け、金がまず高い収益率を上げ、その後1980年と1990年代にインフレが金利を下回る中、株式と債券が長い期間高い収益率を保つこととなった。
2000年以降、2度の株式市場の暴落と世界的な不動産市場の低迷が起こる中、年間資産収益率のデータが示すように、金の収益率は、米国の主要資産比較表で2度トップの座についている。そしてS&P500種株価指数を10回上回ることとなった。
2013年の金の年間収益率は、ここで比較している主要資産の中では最悪となった。しかし、過去40年の収益率で学べることは、金は投資家が最も必要とする際のポートフォリオの保険の役割を十分に果たしていたということだ。

▼米国ドル建てアセットクラスの1973年以来の年間収益率

米国データにおける金の年間収益率比較に関する特記事項

  • 金は収益率において最も順位が上下したものの、過去41年間で7回最高の収益率を上げ、11回最下位となっている。これは、他のアセットクラスと比較すると必ずしも良いものではない。
  • 金は、過去10年間で、上位3位以内に7年間(2005年-2011年)続けて入っている。この結果に近いものとしては、米国不動産投資信託のみが過去6年間(1979-84)上位3位までに入っているのみである。
  • 2013年は金が過去12年間で初めて順位を下げたことと共に、2001年以来初めてインフレ率を下回ることとなった。これは、少なくとも全ての8つのアセットクラスにおいては、過去50年間に1度は経験したことがあるものである。
  • 金は、1994年-2001年に8年間続けてインフレ率を下回った。しかし、この8年間に預金金利はインフレ率を上回った。そのため、このような場合、インフレヘッジの特性を持つ金への投資の緊急性は失われることになる。
  • 金は、株価が下落している際に良い収益率を上げ、2013年のように株式市場が好調な場合は下げる傾向がある。金が収益率において上位3位までに入っていた10年間は、米国株式は下位3位までに3回入っている。
  • 金は、株価が下落している際に良い収益率を上げ、2013年のように株式市場が好調な場合は下げる傾向がある。金が収益率において上位3位までに入ってい た10年間は、米国株式は下位3位までに3回入っている。そして、米国株式が上位3位までに入った17回の内、金は下位3位までに13回入っている。

以上

エィドリアン・アッシュ
ブリオンボールトのリサーチ主任として、市場分析ページ「Gold News」を編集。また、Forbeなどの主要金融分析サイトへ定期的に寄稿すると共に、BBCに市場専門家として定期的に出演しています。その市場分析は、英国のファイナンシャル・タイムズ、エコノミスト、米国のCNBC、Bloomberg、ドイツのDer Stern、FT Deutshland、イタリアのIl Sole 24 Ore、日本では日経新聞などの主要メディアでも頻繁に引用されています。
ブリオンボールト社について
ブリオンボールトは、金・銀地金現物所有サービスをオンラインで提供している世界でも有数の英国企業である。ブリオンボールトのサービスでは、顧客は金・銀現物をより卸売価格に近く、低い費用で投資を行うことができる。顧客の金・銀地金は、顧客が選択可能なロンドン、チューリッヒ、ニューヨーク、シンガポール、トロントの金地金専門保管場所で特定保管できる。ブリオンボールトのディリーレポートは、顧客所有の金・銀が安全に特定保管されていることを証明するものであり、日々オンラインで公表されている。
2005年4月にサービスの提供を開始したブリオンボールトは、ロンドン貴金属市場協会(LBMA)の正会員である。2009年には、個人投資家が地金専門市場にアクセスすることを可能としたことから、英国女王賞を革新部門で受賞し、2013年4月には、過去4年間の国際取引が140%増加していることが認められ、英国女王賞の国際取引部門で2度目の受賞をしている。また、金の業界の市場開発団体である、ワールド・ゴールド・カウンシルは、ブリオンボールトに2010年には資本参加を行い、その株主となっている。
現時点で50,000人を超える顧客が、金及び銀現物を購入、保管、取引するためにブリオンボールトのサービスを利用している。この顧客によって保管されている金地金の評価額は、約13億ドル(約1340億円)であり、これは、多くの中央銀行が保有する金備蓄量を上回る。それに加え、2億7千6百万ドル(約280億円)の顧客の銀地金を保管している。
さらに詳細は、http://gold.bullionvault.jp

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