中国の行方が知れない金の謎
中国では2013年に金購入量が急増しました。それでは、誰が金を買っているのでしょうか。ここで、ブリオンボールトリサーチ主任のエィドリアン・アッシュが今週欧米で話題になった、行方のしれない中国の金の謎について解説しています。
ファイナンシャルタイムズは「すべての人」と述べ、「公式(中央銀行)に保有されているもののみならず、全ての階級の人々、銀行もまた金を購入し保有をしているのです」と、北京のCapital Futures社のLiu Xu氏のコメントを引用しています。
「富は人々に行き渡リつつありますが、人々にとっては投資先が限られているのです。そのため、金は魅力なのです。」
次のリストを見ても分かるように、ファイナンシャルタイムズが、中国の需要と供給の差を取り上げ、中国人民銀行がその謎の購入者であるとレポートしたのは、今回に限ったことではありません。しかし、今回は、前回ほど確信を持った論調ではないようです。
2012年2月16日 「中国の中央銀行が2011年暮れに大量の金を購入…」
2013年12月18日 「中国政府が金輸入の急増の背景にある可能性…」
2014年2月11日 「中国の中央銀行が購入していることが、その背景の一つである可能性…」
それでは、その謎とはどのようなものなのでしょうか。
中国黄金協会は、中国国内の需要と産出量を知ることができる重要な情報源です。そして、この協会のレポートによると、中国の鉱山生産は昨年428トンと発表しています。そして、金の販売量は1176トンに至ったとレポートされています。
香港から中国への金の輸入が1108トンであり、国外への輸出は、金は戦略的金属であることから禁止されているために、360トンの金の行方が謎となるわけです。
「中国人民銀行?」と主要銀行のアナリストである友人は、メールでその予想を返答しました。
「宝飾品であるはずがありません。それは、四半期ごとの販売量で見ることができるからです。」
これらが全て卸売の在庫であるはずがありません。それは、昨年30%下げた価格のために、中国庶民の需要は高く、この時期を逃さず金をブリオンバンクや流通業者が金を購入しているはずだからです。
そのため、昨年の中国の記録的な需要の高さの中で、卸売業者が需要全体の30%に及ぶ金を在庫として取り置くでしょうか。
そうとは言っても、この行方のしれない金の謎が中国人民銀行による金購入であるとは断言できないでしょう。しかし、同時に、世界一の外貨準備高を誇る国が、価格が下げている際に、金を購入するのは賢い選択と考えるべきでもあるでしょう。人民銀行は13億ドルの米国債を保有しています。これは、米国の22億ドルに次ぐ規模です。そして、現在公表されているデータによると、米国の金準備高は中国人民銀行の約8倍である8133トンとなっています。
これは、公式に発表されている量であり、第三者機関等によってこの量を確かめる術はありません。全ての政府の情報公開の基準は、必ずしも透明性があるものではなく、もちろん一律ではありません。特に共産主義の政府においては。中国政府は、どれだけの金を購入しているかを公表することには慎重であることを繰り返しコメントしています。それは、公表することで中国消費者にとっての金価格を押し上げる可能性があるためです。これは、欧米の投機家がその機会を狙っているためです。そのために、私達は中国がどれだけ金を保有しているかを推測することしかできないのです。
この間、金価格は今日も上昇しています。
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エィドリアン・アッシュは、ブリオンボールトのリサーチ主任として、市場分析ページ「Gold News」を編集しています。また、Forbeなどの主要金融分析サイトへ定期的に寄稿すると共に、BBCに市場専門家として定期的に出演しています。その市場分析は、英国のファイナンシャル・タイムズ、エコノミスト、米国のCNBC、Bloomberg、ドイツのDer Stern、FT Deutshland、イタリアのIl Sole 24 Ore、日本では日経新聞などの主要メディアでも頻繁に引用されています。
弊社現職に至る前には、一般投資家へ金融投資アドバイスを提供するロンドンでも有数な出版会社「Fleet Street Publication」の編集者を務め、2003年から2008年までは、英国の主要経済雑誌「The Daily Reckoning]のシティ・コレスポンダントを務めていました。