ロシアのウクライナ侵攻による金価格急騰で 金地金現物の売却が進み金需要減少
2022年3月3日ロンドン – ロシアのウクライナ侵攻による金価格急騰を受けて、欧米の投資家の金需要が増加するどころか、地金現物のネット需要は2019年半ば以降で最低となっていたことが、世界有数のオンライン貴金属市場を提供するブリオンボールトの最新のデータで明らかとなった。
プーチン大統領によるウクライナ侵攻、そして株式市場の下落や数十年ぶりの高いインフレ率が記録されたことからも、2月の金の月間平均価格は前月比2.1%上昇し、トロイオンスあたり1856ドルと2021年の年初以来の高値に達していた。
そのため、既存の金地金所有者の利益確定に拍車がかかる一方で、新規投資を抑制することとなり、ブリオンボールトでの売却量から購入量を差し引いたネット売却量は300キロを超え、2019年6月以来の最大の量となっていた。
金投資家インデックスは、購入量を上回る売却をしたネット売却者数が増加し、売却量を上回る購入をしたネット購入者数が減少したことから、1.9ポイント低下して51.9となり、こちらも2019年6月以来の低い数値となっていた。
50.0を下回る数値は、月間のネット購入者数よりもネット売却者数が多いことを示す。2020年3月のコロナ危機では、金投資家インデックスは10年ぶりの高水準となる65.9のピークを記録していた。
ブリオンボールトのリサーチディレクターであるエイドリアン・アッシュは、今回のデータについて、次のようにコメントしている。
「株式市場の下落は、しばしば金価格の上昇と連動する。そして、貴金属は現在の危機下において、再びポートフォリオのヘッジとして働き、ロシアの民主主義の国への攻撃の中、株式や他のリスク資産の損失をカバーするのに貢献している。
金デリバティブの投機的取引は急増しているが、現物投資の現状を見ると、この投機筋の動きは本来の市場の基調を超えて先走りをしすぎているようだ。既存の金所有者の間での売却は今のところわずかであり、地政学的・経済的見通しが悪化する中で、価格が下げた際には、堅調な需要を見ることになるだろう。」
先週木曜日のロシアのウクライナ侵攻のニュースで、金価格はトロイオンスあたり1970ドルまで急騰し、米ドル建てでは2022年は年初から8%以上、ポンドとユーロ建てでは共に10%高と大幅に上昇している。
一方、世界の株式市場は、MSCIワールドインデックスで年初から7%以上下落している。
ブリオンボールトにおける2月の顧客の金需要は、前年の12ヶ月の平均と比較すると、重量ベースで5.9%上回っていたものの、売りは60.9%上回っていた。これは、価格上昇によって2019年6月に775kgの売却が行われて以来最も多く、ロンドン、ニューヨーク、シンガポール、トロント、チューリッヒの中から顧客が選択した保管場所で保険がかけられて貯蔵されている金の総量は、前月末比0.8%減少し、昨年5月以来初めて47トンを下回ることとなった。
金価格が3ヶ月間で最も速いペースで上昇した一方で、月間で金を売却量を上回って購入したネット購入者数は、2月に1月の数字から6.6%減少し、新型コロナウィルスの感染が中国から世界的に広がる直前の2019年12月以来最も少ない数に減少していた。
一方、月間の売却量が購入量を上回るネット売却者数は53.3%増と、過去12ヶ月で最も多く、金価格がファイザー社のコロナワクチン試験成功のニュースで大きく下落した2020年11月の66.5%増以来の急激な上昇となっていた。
一方、銀の需要は全体的に堅調で、投資家の売却量と均衡し、価格が3ヶ月ぶりの高値に上昇する中、ブリオンボールトの顧客の総保有量は6ヶ月ぶりの低さの1228トンであるものの前月比ほぼ横ばいに据え置かれていた。
しかし、ネット購入者数とネット売却者数のバランスを見ると、銀投資家インデックスは1.0ポイント低下して50.7となり、2019年1月以来の低水準となっていた。
以上
連絡先: ホワイトハウス佐藤敦子
直通電話番号: +44(0)20 8846 3804
メールアドレス:atsuko.whitehouse@bullionvault.com
ブリオンボールトの金・銀投資家インデックスについて
ブリオンボールトの金・銀投資家インデックスは、個人投資家の地金現物の投資傾向を表す、世界でも数少ない指標である。24時間取引が行われている、ブリオンボールトのオンライン市場で取引がされたデータを基に算出され、それぞれのインデックスは、月間でその地金の購入が売却を上回ったネットで購入した投資家の数と売却が購入を上回ったネットで売却をした投資家の数のバランスを表している。そして、この購入者数と売却者数が完璧に一致した際を50として表示されている。
この数値の最高値は、欧州の債務危機の最中の2011年9月に金価格がドル建てで最高値を付けていた際の71.1で、それは英国の多くの都市で暴動が起こった翌月でもあった。そして、この数値の最低値は50.5で、金価格が数年ぶりの低い値となっていた2014年から2015年の冬であった。それ以来、金・銀投資家インデックスは金・銀価格との強い負の相関性を保っており、トランプ大統領が選出されて以来21ヶ月中の18ヶ月がこの傾向となっている。
ブリオンボールト社について
ブリオンボールトは、金・銀・プラチナ地金現物所有サービスをオンラインで提供している世界でも有数の英国企業。2005年にサービスを開始し、現時点で10万人を超える175カ国の顧客(89%が北アメリカと西ヨーロッパに居住)が、390億ドル(4,510億円)相当の資産を保管して、専門市場の取引料率の低さと、流動性の高さ、そして厳重なセキュリティーという恩恵を受けている。また、ブリオンボールトのサービスは自己投資型個人年金の英国のSIPPや米国のIRA口座、信託口座、企業やチャリティー団体が現物金地金を保有するためにも使われている。
ブリオンボールトは、下記サービスを提供している。
• オンラインとモーバイルで金・銀地金現物を24時間取引し、即座に決済。
• 米国ドル・ユーロ・英国ポンド・日本円の利用が可能。
• 地金現物を格安費用で、ロンドン、チューリッヒ、ニューヨーク、シンガポール、トロントで特定保管。
• 日々オンライン上で、顧客所有の金・銀現物が保管されていることを証明するディリーレポートを公表。
ブリオンボールトは、2008年にロンドン貴金属市場協会(LBMA)の正会員となった。そして2009年には、個人投資家が地金専門市場にアクセスすることを可能としたことから、英国女王賞を革新部門で受賞し、2013年4月には、過去4年間の国際取引が140%増加していることが認められ、英国女王賞の国際取引 部門で2度目の受賞をしている。また、2011年には英主要紙のサンデー・タイムズの成長のスピードと規模を測る「Fast Track (急激に成長している非上場企業100社)と Top Track(中規模非公開企業トップ250社)」の両方のカテゴリーにランクされた4つの企業の1社となった。2017年3月には、プラチナ業界のマーケティング団体のワールド・プラチナム・インベストメント・カウンシルによってオンライン・プラチナ地金投資保管のパートナーとして選ばれる。
さらに詳細は、http://gold.bullionvault.jp