11月の金と銀の価格急騰は 個人投資家の金需要を鈍らせ、銀の利益確定売却を促す
2022年12月8日ロンドン - 世界有数のオンライン貴金属取引市場を提供するブリオンボールトの最新データによると、18ヶ月ぶりの速いペースの貴金属価格の上昇は、個人投資家の金地金需要を鈍らせ、銀地金に関しては6年前の英国の欧州連合離脱の是非を問う国民投票以来の多くの利益確定を促すものとなった。
個人投資家の金投資センチメントを数値化した金投資家インデックスは、ドル建ての金価格が2021年5月以来最も速いペースの月間の上昇をしたことから、昨年夏以来の速いペースで11月に下落していた。
一方銀価格は、2020年8月以来の速いペースで上昇し、ブリオンボールトの顧客の利益確定に拍車をかけ、銀投資家インデックスは50を下回り、2016年6月以来初めて月間の売却量が購入量を上回るネット売却者数が、月間売却量を上回る購入量であったネット購入者数よりも多かったことが明らかとなった。
このデータについて、ブリオンボールトのリサーチディレクターであるエイドリアン・アッシュは、次のようにコメントしている。
「金と銀価格の反発は、先物やオプションのショートカバーによるもので、現物の買い手が動く事ができないほど急速に価格を急騰させ、価格の動きに機敏な投資家に利益確定の機会を提供した。
現在の市場の水準は、2022年の大きな価格の動きを覆い隠している。それは、ロシアのウクライナ侵攻で金が史上最高値の水準へ急騰し、銀の価格の上下幅は30%と大きな変動していたことなどだ。」
ドル建て金価格は、米国ドルが為替市場で他の主要通貨に対して2022年に大きく上昇していた水準から下げたため、11月は月初から7.0%上昇して終えていた。これは、2021年5月以来の金の速いペースの上げ幅となり、月間平均価格も3.7%高と上昇していた。
これを受けて、ブリオンボールトの金のネット購入者数は10月の数値から27.0%減少し、過去18ヶ月間で最も速いペースで減少した水準となっていた。一方、金のネット売却者数は27.2%増となり、今年2月以来の急激な上昇率となっていた。
その結果、貴金属保有者の投資センチメントを測る独自の指標である金投資家インデックスは、2021年7月以来最も速いペースで急落し、3.2ポイント減の53.5と、9ヶ月ぶりの低い数値となっていた。
この数値が50.0を上回ると、ネット購入者数とネット売却社数が完璧に一致したことを示す。
重量ベースにおいては、ブリオンボールトの顧客の金保有量はほぼ変わらず、11月に36キロ増で48.0トンを超えて新記録を更新していた。
ドル安による月末の金価格の上昇と合わせて、ブリオンボールトの顧客が保有する金地金の評価額は27億ドル(約3680億円)を超え、過去5ヶ月で最も高い数値となっていた。
一方、保管されている銀地金の量は0.4%減少し、8ヶ月ぶりにネットで減少となり、10月末の史上最高値の1,267.3トンから5.3トンの減少となっていた。
しかし、ブリオンボールトの顧客が保有する銀地金の評価額は、4月以来最も高い8億7500万ドル(約1194億円)となっていた。11月の月間平均銀地金価格は、2020年8月以来最も速いペースでの上昇率の8.5%高となっていた。
その上昇を受けて、貴金属の購入を選択した月間ネット購入者数は10月の数値から41.1%減少し、2013年5月以来の速いペースの下げで、2019年5月以来の低さまで落ち込んでいた。一方、ネット売却者数は39.6%増となり、今年3月以降で最も高い水準となっていたた。
そこで、銀投資家インデックスは2020年10月以来の急落を記録し、4.5ポイント減の49.0と、2016年6月以来の初めて50を下回る数値となっていた。
この動きについてエイドリアン・アッシュは下記のように解説している。
「金利の上昇は、インフレと地政学リスクの高まりによる影響を相殺し、今年の地金需要と価格に上限を与えた。しかし、個人投資家による地金需要はすでに回復しており、2023年にスタグフレーションが起こる可能性からも、中央銀行がさらなる急激な利上げに踏み込むことを躊躇する可能性が高いという観測が広まっている。
金の宝飾品需要はコロナ危機以前の水準に戻っているが、その価格は500ドルも高いものだ。また、銀の長期的なファンダメンタルズは明るいものがある。それは、鉱山供給量が横ばい、もしくは低いものであることが予想される中で、グリーンエネルギー技術からの需要の伸びは顕著なものであるからだ。」
以上
連絡先: ホワイトハウス佐藤敦子
直通電話番号: +44(0)20 8846 3804
メールアドレス:atsuko.whitehouse@bullionvault.com
ブリオンボールトの金・銀投資家インデックスについて
ブリオンボールトの金・銀投資家インデックスは、個人投資家の地金現物の投資傾向を表す、世界でも数少ない指標である。24時間取引が行われている、ブリオンボールトのオンライン市場で取引がされたデータを基に算出され、それぞれのインデックスは、月間でその地金の購入が売却を上回ったネットで購入した投資家の数と売却が購入を上回ったネットで売却をした投資家の数のバランスを表している。そして、この購入者数と売却者数が完璧に一致した際を50として表示されている。
ブリオンボールトが発表するデータは、他の金銀地金市場のデータを補完し、世界最大の個人投資家へ行ったアンケート等の「意図」ではなく、実際に取引されたデータを基に算出されている。詳しくは、ロンドン貴金属市場協会(LBMA)のAlchemist誌の2013年の記事をご覧ください。
ブリオンボールト社について
ブリオンボールトは、金・銀・プラチナ・パラジウム地金現物所有サービスをオンラインで提供している世界でも有数の英国企業。2005年にサービスを開始し、現段階で10万人を超える個人投資家が36億ドル(4910億円)相当の地金を保管し、専門市場の取引料率の低さと、流動性の高さ、そして厳重なセキュリティーという恩恵を受けている。また、ブリオンボールトのサービスは自己投資型個人年金の英国のSIPPや米国のIRA口座、信託口座、企業やチャリティー団体が現物金地金を保有するためにも使われている。
ブリオンボールトは、下記サービスを提供している。
• オンラインとモーバイルで金・銀地金現物を24時間取引し、即座に決済。
• 米国ドル・ユーロ・英国ポンド・日本円の利用が可能。
• 地金現物を格安費用で、ロンドン、チューリッヒ、ニューヨーク、シンガポール、トロントで特定保管。
• 日々オンライン上で、顧客所有の金・銀現物が保管されていることを証明するディリーレポートを公表。
ブリオンボールトは、2008年にロンドン貴金属市場協会(LBMA)の正会員となった。そして2009年には、個人投資家が地金専門市場にアクセスすることを可能としたことから、英国女王賞を革新部門で受賞し、2013年4月には、過去4年間の国際取引が140%増加していることが認められ、英国女王賞の国際取引 部門で2度目の受賞をしている。また、2011年には英主要紙のサンデー・タイムズの成長のスピードと規模を測る「Fast Track 100 (急激に成長している非上場企業100社)と Top Track 250(中規模非公開企業トップ250社)」の両方のカテゴリーにランクされた4つの企業の1社となった。2017年3月には、プラチナ業界のマーケティング団体のワールド・プラチナム・インベストメント・カウンシルによってオンライン・プラチナ地金投資保管のパートナーとして選ばれる。ブリオンボールトは、2022年5月から10月にかけて大英図書館で開催されている「Gold」展のスポンサーとなっている。
さらに詳細は、http://gold.bullionvault.jp