金の買い手と売り手のバランスは 43ヶ月ぶりの低水準
FRBの利下げ観測の広がりと「謎の買い手」の噂等で金価格は高騰し、金投資家は利益確定を進め、金の買い手と売り手のバランスは 43ヶ月ぶりの低水準へ
2023年2月7日ロンドン - 先月金価格が新型コロナウィルス感染第一波による史上最高値以来の急激な上昇をしたことで、個人投資家は世界最大の貴金属現物市場であるブリオンボールトで利益確定の売却を進めていたことが、最新のデータで明らかとなった。
また、金価格の高騰は新規投資家を遠ざけて、先月の新規顧客数は過去13年間で最も低い1月となっていた。
そして、ブリオンボールトの顧客の金地金購入量を差し引いた売却量は、ドル建て金地金価格が月平均で5.7%上昇していたことから、過去3ヶ月間の増加分をほぼ失う1/3トンに達していた。ちなみに、この金価格の上昇幅は、2020年8月に金価格がトロイオンスあたり2075ドルという史上最高値につけて以来の最も大きなものとなる。
英国の投資家にとっては、1月の金価格は英国ポンド建てで5.5%上昇して史上最高値を更新し、ユーロでは3.8%上昇し、これも過去10ヶ月で最も早いペースの上昇であった。
現在175カ国の10万人以上のユーザーのために、5210億円相当の貴金属を保管・管理しているブリオンボールトのリサーチディレクターのエイドリアン・アッシュは、1月の市場と個人投資家の動きに関して下記のように解説している。
「2023年1月の金価格の急激な上昇は、2020年の新型コロナウィルス感染拡大時やロシアのウクライナ侵攻時とは対照的に、投資家に地金現物の購入を促す新たなショックや危機がない状態でもたらされたものだ。そのため、中央銀行の間で謎の買い手がいるという話や、米国連邦準備理事会(FRB)が早期に利上げから利下げに金融政策を転換するという期待からも、金の派生商品への投機的取引は過剰に反応することになった。
現物投資にとってより緊急性の高い要因がないため、新たな資金流入を誘うためには、金価格はもう少し下げる必要があるかもしれない。ブリオンボールトにおける利益確定売りのように、金貨や小型の地金への需要はこの価格では急激に減少し、金ETFからの資金流出が続いている。消費者がこの高値に慣れ、米国の経済指標がFRBの政策転換への期待を裏付け、あるいは否定するまでの間は、金市場ではトレーダーが取引をして急騰と急落を繰り返す現在の状況を続けることだろう。」
ブリオンボールトで金地金を売却することを選択した人の数は、先月12月の数値から81.4%急増し、2020年1月にコロナ危機が始まって以来最も速いペースで増加する中で、金購入者数は4ヶ月連続で減少し、前月比4.7%減少していた。
その結果、金投資家インデックスは2.7ポイント下げて50.6と、2019年6月以来の最低値となっていた。
この指数は、2020年3月に新型コロナウィルスの感染が世界的に広がった際に、10年ぶりの高値である65.9を記録していた。この数値は50.0を下回ると、月間で売り手よりも買い手が多かったことを示している。
ブリオンボールトの顧客は、1月に月間で0.3トン多く購入を上回って売却したため、ブリオンボールトが世界中の顧客のために、ロンドン、ニューヨーク、シンガポール、トロント、チューリッヒから顧客が選んだ場所で安全に保険がかけられて保管されている金地金の総量は、12月から0.7%減少していた。
一方、鉱山業界のワールド・ゴールド・カウンシルがまとめたデータによると、株式市場に上場している金を裏付けとする上昇投資信託(ETF)の残高は、1月に0.5%減少と、9ヶ月連続で月間で資金が流出し、この投資商品の金残高はほぼ3年ぶりの低水準となっていた。
金貨や小型の地金市場の取引データは入手が難しいものの、米国造幣局の報告によると、先月は2022年1月に比べてアメリカンイーグル・コインの販売量で、金が10%、銀が21%減少し、欧州と北米の一部の小売業者は通常人気のある製品を「安売り」にしたと伝えられていた。
また、銀価格は月間平均で、米ドル建てでは2.2%上昇する中で、ユーロ建てでは9ヶ月ぶりの高値ながらも0.4%の上昇にとどまっていた。
このように、銀価格は金価格と比較するとその上げ幅は大きなものではなく、ブリオンボールトの銀購入者数は、12月の43ヶ月ぶりの低水準から42.8%増加し、売却者数は12月の9ヶ月ぶりの高水準から28.1%減となっていた。
その結果、銀投資家インデックスは、51.0となり、前月の史上最低値から3.5ポイント上昇していた。
しかし、ブリオンボールトの顧客は、重量ベースで3ヶ月連続で売り手が買い手を上回り、保有量の0.8%を減少させ、その保有量は過去最高だった10月から2.0%減少し、1210億円相当の1242.4トンとなっていた。
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連絡先: ホワイトハウス佐藤敦子
直通電話番号: +44(0)20 8846 3804
メールアドレス:atsuko.whitehouse@bullionvault.com
ブリオンボールトの金・銀投資家インデックスについて
ブリオンボールトの金・銀投資家インデックスは、個人投資家の地金現物の投資傾向を表す、世界でも数少ない指標である。24時間取引が行われている、ブリオンボールトのオンライン市場で取引がされたデータを基に算出され、それぞれのインデックスは、月間でその地金の購入が売却を上回ったネットで購入した投資家の数と売却が購入を上回ったネットで売却をした投資家の数のバランスを表している。そして、この購入者数と売却者数が完璧に一致した際を50として表示されている。
ブリオンボールトが発表するデータは、他の金銀地金市場のデータを補完し、世界最大の個人投資家へ行ったアンケート等の「意図」ではなく、実際に取引されたデータを基に算出されている。詳しくは、ロンドン貴金属市場協会(LBMA)のAlchemist誌の2013年の記事をご覧ください。
ブリオンボールト社について
ブリオンボールトは、金・銀・プラチナ・パラジウム地金現物所有サービスをオンラインで提供している世界でも有数の英国企業。2005年にサービスを開始し、現段階で10万人を超える個人投資家が38億ドル(5080億円)相当の地金を保管し、専門市場の取引料率の低さと、流動性の高さ、そして厳重なセキュリティーという恩恵を受けている。また、ブリオンボールトのサービスは自己投資型個人年金の英国のSIPPや米国のIRA口座、信託口座、企業やチャリティー団体が現物金地金を保有するためにも使われている。
ブリオンボールトは、下記サービスを提供している。
•オンラインとモーバイルで金・銀地金現物を24時間取引し、即座に決済。
•米国ドル・ユーロ・英国ポンド・日本円の利用が可能。
•地金現物を格安費用で、ロンドン、チューリッヒ、ニューヨーク、シンガポール、トロントで特定保管。
•日々オンライン上で、顧客所有の金・銀現物が保管されていることを証明するディリーレポートを公表。
ブリオンボールトは、2008年にロンドン貴金属市場協会(LBMA)の正会員となった。そして2009年には、個人投資家が地金専門市場にアクセスすることを可能としたことから、英国女王賞を革新部門で受賞し、2013年4月には、過去4年間の国際取引が140%増加していることが認められ、英国女王賞の国際取引 部門で2度目の受賞をしている。また、2011年には英主要紙のサンデー・タイムズの成長のスピードと規模を測る「Fast Track 100 (急激に成長している非上場企業100社)と Top Track 250(中規模非公開企業トップ250社)」の両方のカテゴリーにランクされた4つの企業の1社となった。2017年3月には、プラチナ業界のマーケティング団体のワールド・プラチナム・インベストメント・カウンシルによってオンライン・プラチナ地金投資保管のパートナーとして選ばれる。ブリオンボールトは、2022年5月から10月にかけて大英図書館で開催されている「Gold」展のスポンサーとなっている。
さらに詳細は、http://gold.bullionvault.jp