新規顧客数は銀行懸念で倍増したものの、高値による利益確定売却は進む
2023年4月4日ロンドン - 3月に欧米の銀行への懸念が高まったことで新規顧客数が前月比ほぼ2倍と急増していたことが、個人投資家が現物地金を所有し取引する世界最大の市場であるブリオンボールトの最新データによって明らかになった。
金価格がドル、ユーロ、ポンド、円建てで月末の史上最高値を記録する中で、ブリオンボールトの新規口座開設数は、2月の45ヶ月ぶりの低水準から94.8%増加し、過去12ヶ月平均を41.3%上回り、ロシアのウクライナ侵攻がきっかけで2022年3月に急増した際以来の高い水準に達していた。
しかし、先月の金価格の高騰は利益確定に拍車をかけ、その総額は月間で1億3500万ドル(182億円)相当となり、ブリオンボールトのオンライン市場の月間の取引量は前月比ドル建てで123.9%(英国ポンド:122.8%、ユーロ:123.7%、日本円:125.6%)と、昨年の3月以来の高い取引量となっていた。
ブリオンボールトのリサーチディレクターであるエイドリアン・アッシュは、「この春に急激に高まった銀行への懸念が一過性のものであったかどうかは別として、金価格の底堅さは継続するうようだ。アジアの宝飾品消費者からの堅調な需要が市場の底上げをする一方で、個人投資家の新しい波が中央銀行からの記録的需要にに加わっている。」と述べている。
ブリオンボールトの既存の顧客を含めて、この3月の金購入者数は昨年10月以降で最も高い水準となっていた。
しかし、3月に金価格はドル建てで8.5%(ポンド建てで6.3%、ユーロ建てで6.0%、円建てで5.5%)急騰して、トロイオンスあたり1979ドル(1598ポンド、1818ユーロ、gあたり8465円)と月末史上最高値をつけたことで、記録的な売却者数ともなっていた。
そこで、購入者数と売却者数の急増は、地金現物への個人投資家のセンチメントを測るブリオンボールト独自の指標である金投資家インデックスを2.6ポイント下げて51.9としていた。この指数は、その月の売り手の数と買い手の数が完全に一致した場合に50.0となり、2月までの12ヶ月間の平均は54.5であった。
世界金融危機の真っただ中であった2011年9月に71.7という史上最高値を記録した後、2020年3月のコロナ危機の中で65.9の高値をつけている。
エイドリアンは次のように述べている。
「新規に金を購入する人に話を聞くと、今は価格よりも所有権の確実性が重要とのことだ。既存の金投資家にとっては、金は彼らの期待通りに機能しており、ポートフォリオからリスクを分散し、他の資産の損失を相殺する保険の役割を提供している。
その結果、投資家の金購入の需要は先月ほぼ倍増して2月から95.8%増加したものの、売却量は141.3%急増して購入量を上回っていた。
その結果、ブリオンボールトで顧客が、ロンドン、ニューヨーク、シンガポール、トロント、チューリッヒから選択した場所で安全に保管されている金地金は、0.4%減の47.6トンとなり、12月末の過去最高値から0.5トン減と過去9ヶ月間で最も少なくなり、今年の第1四半期では1.0%減となっていた。
しかし、この顧客保管の金地金総量は、世界の多くの中央銀行の金準備を上回っており、世界の金で裏付けされた158の上場投資信託のうちのトップ12を除く金上場投資信託よりも多く、評価額においては、月末の新記録となる30億ドル(4140億円)相当となっている。
一方、3月の銀価格は、金よりもさらに速いペースで上昇し、ドル建てで16.4%(ポンド建てで13.6%、ユーロ建てで13.5%、円建てで17.3%)上昇し、ロンドンの貴金属専門市場のベンチマークオークションでトロイオンスあたり23.89ドル(19.30ポンド、 21.97 ユーロ、グラムあたり102円)で終えている。
ブリオンボールトの銀地金の3月の購入者数は昨年7月以来最も多くなったものの、売却者数もまた直近で価格が上昇した12月以来最も多くなっていた。
その結果、銀投資家インデックスは2.0ポイント低下して52.4と、過去12ヶ月間の平均値52.7とほぼ同じ水準となっていた。
銀投資家インデックスは、12月に売り手が買い手を上回り47.5と過去最低を記録し、2020年3月には、エネルギーと工業製品価格の暴落の中で、ブリオンボールトの顧客が価格の急落を購入機会として銀需要が急増したことで75.1と史上最高値を更新していた。
先月の銀価格の急騰にもかかわらず、2023年3月は、顧客の売却量を差し引いた保有量は重量ベースで、2021年6月以来最も多い16トン以上となっていた。
その結果、ロンドン、シンガポール、トロント、チューリッヒから選択して保管をしているブリオンボールトの顧客の銀地金の総量は1263トンとなり、2023年の第1四半期で0.9%増加し、評価額は9億7000万ドル(1320億円)相当となっていたものの、昨年10月末に記録した史上最高値より0.3%減少していた。
エイドリアンは次のようにこの状況について述べている。
「2023年の第1四半期は、貴金属にとって、またしてもジェットコースターのようなものだった。銀は2月に2020年秋以来の最も急激な月間の下落率を記録し、その後3月には2020年12月以来最も急激な上昇をみせていた。」
以上
連絡先: ホワイトハウス佐藤敦子
直通電話番号: +44(0)20 8846 3804
メールアドレス:atsuko.whitehouse@bullionvault.com
ブリオンボールトの金・銀投資家インデックスについて
ブリオンボールトの金・銀投資家インデックスは、個人投資家の地金現物の投資傾向を表す、世界でも数少ない指標である。24時間取引が行われている、ブリオンボールトのオンライン市場で取引がされたデータを基に算出され、それぞれのインデックスは、月間でその地金の購入が売却を上回ったネットで購入した投資家の数と売却が購入を上回ったネットで売却をした投資家の数のバランスを表している。そして、この購入者数と売却者数が完璧に一致した際を50として表示されている。
ブリオンボールトが発表するデータは、他の金銀地金市場のデータを補完し、世界最大の個人投資家へ行ったアンケート等の「意図」ではなく、実際に取引されたデータを基に算出されている。詳しくは、ロンドン貴金属市場協会(LBMA)のAlchemist誌の2013年の記事をご覧ください。
ブリオンボールト社について
ブリオンボールトは、金・銀・プラチナ・パラジウム地金現物所有サービスをオンラインで提供している世界でも有数の英国企業。2005年にサービスを開始し、現段階で10万人を超える個人投資家が40億ドル(5590億円)相当の地金を保管し、専門市場の取引料率の低さと、流動性の高さ、そして厳重なセキュリティーという恩恵を受けている。また、ブリオンボールトのサービスは自己投資型個人年金の英国のSIPPや米国のIRA口座、信託口座、企業やチャリティー団体が現物金地金を保有するためにも使われている。
ブリオンボールトは、下記サービスを提供している。
• オンラインとモーバイルで金・銀地金現物を24時間取引し、即座に決済。
• 米国ドル・ユーロ・英国ポンド・日本円の利用が可能。
• 地金現物を格安費用で、ロンドン、チューリッヒ、ニューヨーク、シンガポール、トロントで特定保管。
• 日々オンライン上で、顧客所有の金・銀現物が保管されていることを証明するディリーレポートを公表。
ブリオンボールトは、2008年にロンドン貴金属市場協会(LBMA)の正会員となった。そして2009年には、個人投資家が地金専門市場にアクセスすることを可能としたことから、英国女王賞を革新部門で受賞し、2013年4月には、過去4年間の国際取引が140%増加していることが認められ、英国女王賞の国際取引 部門で2度目の受賞をしている。また、2011年には英主要紙のサンデー・タイムズの成長のスピードと規模を測る「Fast Track 100 (急激に成長している非上場企業100社)と Top Track 250(中規模非公開企業トップ250社)」の両方のカテゴリーにランクされた4つの企業の1社となった。2017年3月には、プラチナ業界のマーケティング団体のワールド・プラチナム・インベストメント・カウンシルによってオンライン・プラチナ地金投資保管のパートナーとして選ばれる。ブリオンボールトは、2022年5月から10月にかけて大英図書館で開催されている「Gold」展のスポンサーとなっている。
さらに詳細は、http://gold.bullionvault.jp。