ゴールドコラム & 特集

金価格が記録的な高値の中で利益確定の売却は鈍化しているものの継続

2023年12月8日ロンドン - 記録的な金価格の高騰の中、個人投資家は再び貴金属の購入よりも売却を選択していたことが、世界でも有数のオンライン貴金属市場を提供するブリオンボールトの最新データで明らかとなった。しかし、2024年を目前にして、金融と地政学的リスクが高まり続けていることから、利益確定のペースは減速していた。

「2008年の世界金融危機以前以来の高金利で、金地金価格は史上最高値を更新している中、現物金地金市場で驚くべきことは、利益確定の売却が増加していないことだ。」とブリオンボールトのリサーチダイレクターのエィドリアン・アッシュは述べている。

「大多数の個人投資家が行っている、金を購入して保有し続けるというアプローチに比べ、金地金の利益確定を行うというストラテジーは未だ少数派といえる。これは、中国を中心とした記録的な中央銀行の金需要と相まって、投資家が2024年の先行きとして、景気後退、中東での紛争が悪化しないまでもウクライナ戦争と同様に終わりが見えないこと、そして米国、インド、英国で選挙が行われることによるリスクが高まっていることから、金価格の底値のサポートが継続すると見ていることを示唆している。」とアッシュは続けている。

11月に金価格はトロイオンスあたり40ドル上昇し、月末の最高値2035ドルで終える中で、購入者数は10月から15.6%減少し、4年ぶりの低さを記録していた。

しかし、売却者数は購入者数よりも大きく減少し、10月の7ヶ月ぶりの高い数値から36.8%減少し、金地金現物に投資をする人々のセンチメントを示す金投資家インデックスは、51.9まで上昇していた。

50.0を上回る数値は、月間に購入量が売却量を上回った購入者数が売却量が購入量を上回った売却者数を上回っていたことを示している。金投資家インデックスは、2019年6月に金価格が当時3年を超える期間で最も速いペースで急騰した際に、10年ぶりの低水準である49.1を記録し、2020年3月に新型コロナウィルス感染症によるパンデミックが世界的に広がった際に、10年ぶりの高水準となる65.9を記録している。

10月の9ヶ月ぶりの低い数値から1.1ポイント上昇した先月のインデックスは、6月以来最も速い上昇ペースで、過去12ヶ月で4番目に大きい上昇幅となっていた。



ブリオンボールトのリサーチダイレクターのエィドリアン・アッシュは、「11月は、金価格が更に上昇したにもかかわらず、投資家の金地金の売りは弱まっていた。」と述べたものの、「今週月曜日の価格の急騰時には利益確定の売却は終わっていなかったことを証明していた。」と続けている。

「ブリオンボールトのオンライン市場は、コインショップや株式市場に上場しているETF商品とは異なり、24時間無休で稼働している。そのため、月曜日の早朝のアジア取引開始時の金価格の3.5%の急騰では、利益確定の売却が急増し、売却者数が購入者数を大きく上回り、重量においては7割以上上回っていた。」

重量ベースで、ブリオンボールトの顧客は、11月に3ヶ月連続で購入を上回る金地金を売却しており、これは2019年半ば以降で最も長い期間となっている。

その結果、顧客の金地金保有量は、過去最高であった8月末から2.1%減少し、過去20ヶ月で最も低い47.2トンとなった。その一方で、ブリオンボールトで保有されている金地金の評価額は、1.4%増加して、過去最高の31億ドルとなっていた。

これとは対照的に、銀地金は、ドル建て価格が7.8%上昇したため、4月以来のペースで利益確定の売却が加速し、ブリオンボールトの顧客は、14.5トンの銀地金を売り、その結果保有量は1.1%減の1,229.1トンと、過去19ヶ月で最低となり、過去最高であった2022年10月を3.0%下回っていた。

しかし、顧客保有の銀地金評価額は、前月比6.6%増の9億8800万ドルとなり、過去7か月で最高を記録していた。



銀価格は11月に月間を通して急騰し、2021年7月以来初めてトロイオンスあたり25ドルを超えて終えていた。そこで、貴金属の購入を選択した投資家の数は10月から45.9%減少し、2010年8月以来の少なさとなった。

それに対し、銀の売却者数は、57.3%増加して、過去7か月で最も多くなり、銀投資家インデックスは、5.2ポイント下げて、2020年10月以来最も早いペースで急落し、過去最低の数値である46.4となっていた。

以上
連絡先: ホワイトハウス佐藤敦子 
直通電話番号: +44(0)20 8846 3804  
メールアドレス:atsuko.whitehouse@bullionvault.com

ブリオンボールトの金・銀投資家インデックスについて
ブリオンボールトの金・銀投資家インデックスは、個人投資家の地金現物の投資傾向を表す、世界でも数少ない指標である。24時間取引が行われている、ブリオンボールトのオンライン市場で取引がされたデータを基に算出され、それぞれのインデックスは、月間でその地金の購入が売却を上回ったネットで購入した投資家の数と売却が購入を上回ったネットで売却をした投資家の数のバランスを表している。そして、この購入者数と売却者数が完璧に一致した際を50として表示されている。
ブリオンボールトが発表するデータは、他の金銀地金市場のデータを補完し、世界最大の個人投資家へ行ったアンケート等の「意図」ではなく、実際に取引されたデータを基に算出されている。詳しくは、ロンドン貴金属市場協会(LBMA)のAlchemist誌の2013年の記事をご覧ください。
ブリオンボールト社について
ブリオンボールトは、金・銀・プラチナ・パラジウム地金現物所有サービスをオンラインで提供している世界でも有数の英国企業。2005年にサービスを開始し、現段階で10万人を超える個人投資家が41億ドル(6170億円)相当の地金を保管し、専門市場の取引料率の低さと、流動性の高さ、そして厳重なセキュリティーという恩恵を受けている。また、ブリオンボールトのサービスは自己投資型個人年金の英国のSIPPや米国のIRA口座、信託口座、企業やチャリティー団体が現物金地金を保有するためにも使われている。
ブリオンボールトは、下記サービスを提供している。

•    オンラインとモーバイルで金・銀地金現物を24時間取引し、即座に決済。
•    米国ドル・ユーロ・英国ポンド・日本円の利用が可能。
•    地金現物を格安費用で、ロンドン、チューリッヒ、ニューヨーク、シンガポール、トロントで特定保管。
•    日々オンライン上で、顧客所有の金・銀現物が保管されていることを証明するディリーレポートを公表。

ブリオンボールトは、2008年にロンドン貴金属市場協会(LBMA)の正会員となった。そして2009年には、個人投資家が地金専門市場にアクセスすることを可能としたことから、英国女王賞を革新部門で受賞し、2013年4月には、過去4年間の国際取引が140%増加していることが認められ、英国女王賞の国際取引 部門で2度目の受賞をしている。また、2011年には英主要紙のサンデー・タイムズの成長のスピードと規模を測る「Fast Track 100 (急激に成長している非上場企業100社)と Top Track 250(中規模非公開企業トップ250社)」の両方のカテゴリーにランクされた4つの企業の1社となった。2017年3月には、プラチナ業界のマーケティング団体のワールド・プラチナム・インベストメント・カウンシルによってオンライン・プラチナ地金投資保管のパートナーとして選ばれる。ブリオンボールトは、2022年5月から10月にかけて大英図書館で開催されている「Gold」展のスポンサーとなっている。
さらに詳細は、http://gold.bullionvault.jp

ブリオンボールト

プロフィール

ブリオンボールト

BullionVault

英国最大手のオンライン金地金取引サービス提供。英国女王賞を2009年に革新部門、2013年に国際取引部門で受賞。7万人を超える顧客の約38.7トンの金地金を保管。 ロンドン貴金属市場協会の正会員。ワールド ゴールド カウンシルの関連会社とロスチャイルドファンドが資本参加。

最新コラム

新着ゴールドグッズ

一覧を見る