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2024年に金価格が記録的高水準で始まる中で金投資においては価格要因が地政学リスクを勝る

2024年1月9日 ロンドン - 2023年に金価格は記録的な高い水準を維持したことで、個人投資家による金への投資は10年前の弱気市場以来の低さへ下げていたことが、世界有数のオンライン市場を提供するブリオンボールトの最新のデータで明らかとなった。

これとは対照的に、中央銀行からの金需要は、1960年代初頭以来の高水準となっている。

ブリオンボールトのリサーチディレクターであるエィドリアン・アッシュは、この状況について次のように述べている。

「個人投資家と中央銀行との金需要の違いは、これまでに見られたことが無いほど鮮明となっている。中央銀行が世界の通貨システムの要として金を買い戻す一方で、個人投資家はまるで弱気相場から抜け出せないかのように、貴金属を売却、もしくは購入を避けている。昨年は地政学的に懸念を高める多くのニュースがあったにもかかわらず、世界の株式市場が2022年の暴落をほぼ反転させたため、個人投資家にとって金投資への緊急性を欠いていたことも背景となっているようだ。

高金利と記録的な金価格の高騰は、新規の購入者を遠ざける一方で、既存投資家の継続的な利益確定の売りを誘っている。これとは対照的に、中国を筆頭とする中央銀行は、リスクを分散し、米国の制裁にさらされるリスクを減らすために、外貨準備のドル離れを狙って、価格に関係なく金を買い続けている。これは、2024年の米国選挙を前に、大国間の不信と緊張が悪化していることを浮き彫りにしている。

金の上昇トレンドが2024年も続きそうな中、米連邦準備制度理事会(FRB)が欧州に先駆け利下げを開始することで、民間の金地金需要は増加するだろう。しかしより顕著な動きを誘発するためには、地政学的、経済的、金融的なショックによる新たな緊急性が必要だろう。」



12月初めにトロイオンスあたり2143ドルと現物市場における史上最高値まで急騰した金価格は、連邦準備制度理事会(FRB)が今年ドル金利を引き下げる予定であることを確認した後、年末、四半期末、月末、週末に米国ドル建てで過去最高を記録し、前年末から13.7%上昇し、トロイオンスあたり2062ドルで2023年を終えた。

これを受けて、12月に金地金を購入した個人投資家は、2019年5月以降のどの月よりも少なく、11月の数値から12.0%減少していた。対照的に売却者数は3.5%増加し、昨年10月の7ヶ月ぶりの高さ以来の多さとなっていた。

そこで、現物地金に対する個人投資家のセンチメントを示すブリオンボールトの独自の指標である金投資家インデックスを0.5ポイント押し下げて51.4とし、金価格が世界金融危機時の記録的なピークに達した後の急落を拡大させた2014年以来最も低い12月の数値となった。そこで、このインデックスの年間平均は過去9年間で最も低く、2022年から1.6ポイント下げて53.0となっていた。

金投資家インデックスは、月間で購入が売却量を上回った購入者数と売却が購入量を上回った売却者数が完全に一致すれば50.0となる。この数値は、2020年3月に新型コロナウィルスが世界的に広がった際に65.9と10年来のピークを記録している。

その結果、ブリオンボールトの顧客は、4ヶ月連続で「安全資産」である金を購入した量よりも売却した量の方が多くなり、ロンドン、ニューヨーク、シンガポール、トロント、チューリッヒから選択した場所で保管されている金地金の総保有量は、2022年3月以来初めて47トンを下回ることとなった。

そして、ブリオンボールトの顧客の銀地金保有量は、2023年8月の記録から2.6%減少し、2023年新年の記録から1.2トン減少して、年間では記録的な大量の減少となったものの、ドル建ての評価額では昨年11.0%増加し、12月末には31億ドルを超える新記録となっていた。(日本円建てでは19.2%増の4410億円。)

12月の銀の月間平均価格はドル建てで2.5%上昇し、7月以来の24ドルに達したものの、銀価格は月末にかけて急落し、ドル建てでは11月末の2021年半ば以来の高値であった25ドルから4.9%下落していた。

その結果、銀の購入者数は11月の13年ぶりの低水準から43.6%増加し、売却者数は7ヶ月ぶりの高水準から41.3%減少していた。その結果、銀投資家インデックスは50.8となり、11月の過去最低値から4.4ポイント上昇していた。

重量にすると、2023年は12月も含めて7か月で銀の総量が月間で減少することとなった。そこで、その減少量は年間で14トンとなり総量を1214トンとしていた。これは、過去31ヶ月で最も少なく、2022年10月の記録的な高い水準を4.2%下回っていた。そして、その評価額は9億2,800万ドル(1,310億円)となり、12ヶ月前に比べドル建てで3.6%減少して、新年を迎えることとなった。

以上

連絡先: ホワイトハウス佐藤敦子 
直通電話番号: +44(0)20 8846 3804  
メールアドレス:atsuko.whitehouse@bullionvault.com


ブリオンボールトの金・銀投資家インデックスについて
ブリオンボールトの金・銀投資家インデックスは、個人投資家の地金現物の投資傾向を表す、世界でも数少ない指標である。24時間取引が行われている、ブリオンボールトのオンライン市場で取引がされたデータを基に算出され、それぞれのインデックスは、月間でその地金の購入が売却を上回ったネットで購入した投資家の数と売却が購入を上回ったネットで売却をした投資家の数のバランスを表している。そして、この購入者数と売却者数が完璧に一致した際を50として表示されている。
ブリオンボールトが発表するデータは、他の金銀地金市場のデータを補完し、世界最大の個人投資家へ行ったアンケート等の「意図」ではなく、実際に取引されたデータを基に算出されている。詳しくは、ロンドン貴金属市場協会(LBMA)のAlchemist誌の2013年の記事をご覧ください。
ブリオンボールト社について
ブリオンボールトは、金・銀・プラチナ・パラジウム地金現物所有サービスをオンラインで提供している世界でも有数の英国企業。2005年にサービスを開始し、現段階で10万人を超える個人投資家が42億ドル(5940億円)相当の地金を保管し、専門市場の取引料率の低さと、流動性の高さ、そして厳重なセキュリティーという恩恵を受けている。また、ブリオンボールトのサービスは自己投資型個人年金の英国のSIPPや米国のIRA口座、信託口座、企業やチャリティー団体が現物金地金を保有するためにも使われている。
ブリオンボールトは、下記サービスを提供している。

•オンラインとモーバイルで金・銀地金現物を24時間取引し、即座に決済。
•米国ドル・ユーロ・英国ポンド・日本円の利用が可能。
•地金現物を格安費用で、ロンドン、チューリッヒ、ニューヨーク、シンガポール、トロントで特定保管。
•日々オンライン上で、顧客所有の金・銀現物が保管されていることを証明するディリーレポートを公表。

ブリオンボールトは、2008年にロンドン貴金属市場協会(LBMA)の正会員となった。そして2009年には、個人投資家が地金専門市場にアクセスすることを可能としたことから、英国女王賞を革新部門で受賞し、2013年4月には、過去4年間の国際取引が140%増加していることが認められ、英国女王賞の国際取引 部門で2度目の受賞をしている。また、2011年には英主要紙のサンデー・タイムズの成長のスピードと規模を測る「Fast Track 100 (急激に成長している非上場企業100社)と Top Track 250(中規模非公開企業トップ250社)」の両方のカテゴリーにランクされた4つの企業の1社となった。2017年3月には、プラチナ業界のマーケティング団体のワールド・プラチナム・インベストメント・カウンシルによってオンライン・プラチナ地金投資保管のパートナーとして選ばれる。ブリオンボールトは、2022年5月から10月にかけて大英図書館で開催されている「Gold」展のスポンサーとなっている。
さらに詳細は、http://gold.bullionvault.jp

ブリオンボールト

プロフィール

ブリオンボールト

BullionVault

英国最大手のオンライン金地金取引サービス提供。英国女王賞を2009年に革新部門、2013年に国際取引部門で受賞。7万人を超える顧客の約38.7トンの金地金を保管。 ロンドン貴金属市場協会の正会員。ワールド ゴールド カウンシルの関連会社とロスチャイルドファンドが資本参加。

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