ゴールドコラム & 特集

金投資センチメントが11か月ぶりの高さへと上昇する中、顧客保有地金評価額は史上最高値となる

2024年6月5日ロンドン - 欧米の投資家の金投資へのセンチメントは、前月に続き5月に高まり、金価格が米ドル建てで史上最高値を更新する中、世界有数のオンライン貴金属市場を提供するブリオンボールトで、過去11ヶ月間で最も高い数値を記録していた。

9割が欧米に在住している10万人の顧客の44億ドル(7290億円)相当の金、銀、プラチナ、パラジウムを保管しているブリオンボールトにおいて、金地金の利益確定は、5月に2ヶ月連続で減少していた。そして、新規顧客数は、過去12ヶ月の平均を50%以上上回っていた。

ブリオンボールトのリサーチディレクターであるエィドリアン・アッシュは、先月の動きについて、次のように解説している。

「中央銀行と中国の投資家が、金価格を史上最高値まで上昇させたことで、欧米の利益確定の地金売却は出尽くしたようだ。2024年に予定されている主要国の総選挙が、すでに勃発している紛争やそれによる地政学的緊張の高まりの中で、それぞれの国の不確実性が認識されてきているために、金地金現物を購入することへの関心が高まっている。」

ドル建てで取引される金は、5月に1.7%上昇し、トロイオンスあたり2352ドルと3ヶ月連続で月間平均の新高値を記録し、日本円建て金相場は前月比2%高のgあたり11796円と5か月連続で月間平均記録を更新していた。

月間を通じて売却量を上回る購入をしたネット購入者数は、10ヶ月ぶりの高水準となった4月から8.1%減少したものの、ネット売却者数は昨年8月以来最も少ない水準へ51.5%減少していた。そこで、欧米個人投資家の地金投資傾向を、実際に行われた取引を基に算出するブリオンボールト独自の指標である金投資家インデックスは、4月から2.8ポイント上昇して54.4となっていた。

これは昨年6月以来の高い数値で、3月の過去最低の47.5を6.9ポイント上回ったこととなる。この数値が50.0を上回った場合は、月間を通じてネット純購入者数が、ネット売却者数を上回ることを示す。金投資家インデックスは、2020年3月にコロナ危機が発生した際に、10年ぶりの高水準となる65.9を記録している。



「今春史上最高値の更新を続けた価格は、勢いを失いつつあるかもしれないが、金融システムと地政学的ヘッジとしての金の側面からも、金投資は堅固なものがある。欧米の中央銀行の利下げ開始時期が大幅に遅れる中、この傾向はさらに強まるだろう。前回、金投資家インデックスがこの水準に達した際は、金価格はトロイオンスあたり409ドル安だった。」

ブリオンボールトを利用している投資家全体では、5月に購入した量よりも134キログラム多い金地金を売却し、4月のネット売却量の半分以下の量ではあったものの、総金地金保有量を0.3%減らしていた。

その結果、ロンドン、ニューヨーク、シンガポール、トロント、チューリッヒの中から選択できる保管場所で貯蔵されている金地金の総量は45.1トンとなり、2020年9月以来で最も少ない量となっていた。しかし、その評価額は34億ドル(5340億円)と新たな高値を更新していた。

一方、5月の新規顧客数は、4月の13ヶ月ぶりの高水準から17.3%減少したものの、米国、フランス、スペインからの新たな顧客数の急増に牽引され、12ヶ月平均を51.3%上回っていた。



5月の銀投資家インデックスは48.0となり、4月から0.7ポイント上昇し、最低値をつけた3月からは3.0ポイント上回った一方で、工業的に有用な銀の月間平均価格は、2013年2月以来の高値となるトロイオンスあたり29.40ドルとなっていた。

また、金と同様に顧客が保有する銀総量は、ブリオンボールトのユーザーによるネット売却量が、1月以来の僅差ではあったもののネット購入量を上回っていたことで、総地金量の1.1%近い13トンの流出となっていた。その結果、顧客の銀地金総保有量は1,155トンと40ヶ月ぶりの低水準となっていた。しかし、この評価額は過去最高を記録し、初めて11億ドル(1810億円)を超えていた。

エィドリアン・アッシュは次のようにコメントしている。

「2024年前半の欧米の投資家による金と銀の売却は、貴金属投資を手じまいするということではなく、利益確定とポートフォリオのリバランスを意味している。しかし、今春のセンチメントの好転は、非常に低い水準からのものだ。今年政治的緊張と不確実性が継続、もしくは高まることが予想される中、新たな価格上昇に大きな弾みをつける可能性はあるだろう。」

以上

連絡先: ホワイトハウス佐藤敦子 
直通電話番号: +44(0)20 8846 3804  
メールアドレス:atsuko.whitehouse@bullionvault.com

ブリオンボールトの金・銀投資家インデックスについて
ブリオンボールトの金・銀投資家インデックスは、個人投資家の地金現物の投資傾向を表す、世界でも数少ない指標である。24時間取引が行われている、ブリオンボールトのオンライン市場で取引がされたデータを基に算出され、それぞれのインデックスは、月間でその地金の購入が売却を上回ったネットで購入した投資家の数と売却が購入を上回ったネットで売却をした投資家の数のバランスを表している。そして、この購入者数と売却者数が完璧に一致した際を50として表示されている。
ブリオンボールトが発表するデータは、他の金銀地金市場のデータを補完し、世界最大の個人投資家へ行ったアンケート等の「意図」ではなく、実際に取引されたデータを基に算出されている。詳しくは、ロンドン貴金属市場協会(LBMA)のAlchemist誌の2013年の記事をご覧ください。
ブリオンボールト社について
ブリオンボールトは、金・銀・プラチナ・パラジウム地金現物所有サービスをオンラインで提供している世界でも有数の英国企業。2005年にサービスを開始し、現段階で175か国からの10万人を超える個人投資家が46億ドル(7290億円)相当の地金を保管し、専門市場の取引料率の低さと、流動性の高さ、そして厳重なセキュリティーという恩恵を受けている。また、ブリオンボールトのサービスは自己投資型個人年金の英国のSIPPや米国のIRA口座、信託口座、企業やチャリティー団体が現物金地金を保有するためにも使われている。
ブリオンボールトは、下記サービスを提供している。

•    オンラインとモーバイルで金・銀地金現物を24時間取引し、即座に決済。
•    米国ドル・ユーロ・英国ポンド・日本円の利用が可能。
•    地金現物を格安費用で、ロンドン、チューリッヒ、ニューヨーク、シンガポール、トロントで特定保管。
•    日々オンライン上で、顧客所有の金・銀現物が保管されていることを証明するディリーレポートを公表。

ブリオンボールトは、2008年にロンドン貴金属市場協会(LBMA)の正会員となった。そして2009年には、個人投資家が地金専門市場にアクセスすることを可能としたことから、英国女王賞を革新部門で受賞し、2013年4月には、過去4年間の国際取引が140%増加していることが認められ、英国女王賞の国際取引 部門で2度目の受賞をしている。また、2011年には英主要紙のサンデー・タイムズの成長のスピードと規模を測る「Fast Track 100 (急激に成長している非上場企業100社)と Top Track 250(中規模非公開企業トップ250社)」の両方のカテゴリーにランクされた4つの企業の1社となった。2017年3月には、プラチナ業界のマーケティング団体のワールド・プラチナム・インベストメント・カウンシルによってオンライン・プラチナ地金投資保管のパートナーとして選ばれる。ブリオンボールトは、2022年5月から10月にかけて大英図書館で開催されている「Gold」展のスポンサーとなっている。
さらに詳細は、http://gold.bullionvault.jp

ブリオンボールト

プロフィール

ブリオンボールト

BullionVault

英国最大手のオンライン金地金取引サービス提供。英国女王賞を2009年に革新部門、2013年に国際取引部門で受賞。7万人を超える顧客の約38.7トンの金地金を保管。 ロンドン貴金属市場協会の正会員。ワールド ゴールド カウンシルの関連会社とロスチャイルドファンドが資本参加。

最新コラム

新着ゴールドグッズ

一覧を見る