金価格が四半期最高値を記録する中、欧米の利益確定売却は減少
2024年7月2日ロンドン - 金価格が6月に四半期末ベースで史上最高値を更新したにもかかわらず、欧米の投資家は新たな利益確定の売却を進めることなく、オンラインで現物貴金属市場を提供する世界有数のブリオンボールトの顧客は、ほぼ1年ぶりに月間の金地金の購入量を差し引いた売却量をほぼゼロに近づけていた。
この間フランスの金需要は、英国とは対照的に再び売却を上回る購入量でプラスとなり、6ヶ月連続でドイツを上回っていた。また、欧州第3の経済大国であるフランスでは、マクロン大統領によって議会解散・国民議会選挙が発表され、現時点ではマリー・ルペン氏率いる国民連合(RN)が主導している政治的混乱の中で、新規顧客数は、四半期ベースで過去3年間の最高値を記録することとなった。
「投資家の懸念を測定するバロメーターとしての金需要は現在フランスで最も強いものがある。欧米の他の地域における金投資は依然として軟調ではあるものの、金地金価格の継続的な強さからも、投資家の政治と金融システムの将来への疑念と不確実性の高まりを示唆している。」 とブリオンボールトのリサーチディレクターであるエィドリアン・アッシュは述べている。
ブリオンボールトは、世界175カ国の10万人以上の個人投資家に利用されており、その9割は西欧もしくは北米に居住し、ブリオンボールトが提供している、ロンドン、チューリッヒ、ニューヨーク、トロント、シンガポールの専門保管場所で、金地金33億ドル(5,310億円)、銀地金11億ドル(1,770億円)、白金族金属9000万ドル(140億円)相当を保管している。
6月に月間で金地金を売却量を上回る量購入したネット購入者数は、5月の数値から12.0%減少し、3月以来の低水準となった。しかし、月間を通じて購入を上回る量の金を売却したネット売却者数もまた14.4%減少し、昨年6月以来最も少なく、過去最高のネット売却者数を記録した3月の3分の1ほどとなっていた。
この結果、金投資家インデックスは53.9となり、5月の11ヶ月ぶりの高水準から0.5ポイントと若干下げたものの、金価格が急騰した3月の最低値の47.5からは6.4ポイント上昇し、2023年6月の56.2以来の四半期最終月の数値としては最高を記録していた。
金投資家インデックスは、2020年3月に世界を襲ったコロナ危機により、65.9と10年来のピークを記録している。この数値は月間のネット購入者数とネット売却者数が完璧に一致した場合は50.0となる。
6月のドル建て金価格は、5月に記録した月間終値として最高値のトロイオンスあたり2346ドルから0.7%下落したものの、四半期平均価格では、2四半期連続で最高値を更新し、12.9%高の2338ドルとなり、四半期末価格としては最高値2331ドルを記録していた。
英国ポンド建てとユーロ建て金価格は、それぞれ1853ポンドと2171ユーロと3四半期連続で四半期平均の最高記録を更新し、またポンド建てとユーロ建てにおいては月末価格と四半期末価格としても1845ポンドと2178ユーロで最高値を更新した。また、日本円建て金価格は、gあたり11,719円と7四半期連続で四半期平均の最高記録を更新し、前月末と四半期末においても12,054円と最高値を更新していた。
その結果、ブリオンボールトでは、投資家全体として再び売り越しとなり、10ヶ月連続で保有量を減少させた。しかし、そのネット減少量は、昨年9月に利益確定の売却で月間の売り越しが始まって以来最も少なく、わずか31キログラムであった。この減少量は、過去9ヶ月の平均売却量の9.1%に相当し、3月の記録的な大量の減少時の3.1%に過ぎないもので、ブリオンボールトの顧客が保有する金地金の総量は45.1トンとなっていた。
6月の顧客の動きとして顕著であったのは、フランスの投資家が6ヶ月連続で月間のネット購入となり、新年からわずか26kgの増加であったものの、2024年の現時点まででは、主要市場で唯一、需要がプラスとなっている。これとは対照的に、英国居住の投資家は710kg、米国は406kg、ドイツは161kg、イタリアは28kgをネットで年初来売却している。
2024年第2四半期において、フランスの新規顧客数は2013年末以来初めてドイツを上回り、第1四半期から80.5%急増し、2021年初頭以来の最高値である四半期合計を記録している。
エィドリアン・アッシュはこの背景を次のように解説している。
「2024年の前半期を四半期平均価格として史上最高を記録して終えた後、英国や米国がフランスに続いて総選挙と大統領選を迎える中で、金価格は基本的な上昇トレンドを継続するようだ。政治的不確実性は、投資の保険としての金の魅力を高めている。長期的には、主要国の財政と金融システムへの懸念を背景として金価格を支えるだろう。
フランスの極右派と強硬左派、英国の保守党と労働党、米国のトランプ前大統領とバイデン大統領のいずれの選挙においても、財政赤字の拡大に反対する投票を行うこともできないのだ。」
以上
連絡先: ホワイトハウス佐藤敦子
直通電話番号: +44(0)20 8846 3804
メールアドレス:atsuko.whitehouse@bullionvault.com
ブリオンボールトの金・銀投資家インデックスについて
ブリオンボールトの金・銀投資家インデックスは、個人投資家の地金現物の投資傾向を表す、世界でも数少ない指標である。24時間取引が行われている、ブリオンボールトのオンライン市場で取引がされたデータを基に算出され、それぞれのインデックスは、月間でその地金の購入が売却を上回ったネットで購入した投資家の数と売却が購入を上回ったネットで売却をした投資家の数のバランスを表している。そして、この購入者数と売却者数が完璧に一致した際を50として表示されている。
ブリオンボールトが発表するデータは、他の金銀地金市場のデータを補完し、世界最大の個人投資家へ行ったアンケート等の「意図」ではなく、実際に取引されたデータを基に算出されている。詳しくは、ロンドン貴金属市場協会(LBMA)のAlchemist誌の2013年の記事をご覧ください。
ブリオンボールト社について
ブリオンボールトは、金・銀・プラチナ・パラジウム地金現物所有サービスをオンラインで提供している世界でも有数の英国企業。2005年にサービスを開始し、現段階で175か国からの10万人を超える個人投資家が45億ドル(7230億円)相当の地金を保管し、専門市場の取引料率の低さと、流動性の高さ、そして厳重なセキュリティーという恩恵を受けている。また、ブリオンボールトのサービスは自己投資型個人年金の英国のSIPPや米国のIRA口座、信託口座、企業やチャリティー団体が現物金地金を保有するためにも使われている。
ブリオンボールトは、下記サービスを提供している。
• オンラインとモーバイルで金・銀地金現物を24時間取引し、即座に決済。
• 米国ドル・ユーロ・英国ポンド・日本円の利用が可能。
• 地金現物を格安費用で、ロンドン、チューリッヒ、ニューヨーク、シンガポール、トロントで特定保管。
• 日々オンライン上で、顧客所有の金・銀現物が保管されていることを証明するディリーレポートを公表。
ブリオンボールトは、2008年にロンドン貴金属市場協会(LBMA)の正会員となった。そして2009年には、個人投資家が地金専門市場にアクセスすることを可能としたことから、英国女王賞を革新部門で受賞し、2013年4月には、過去4年間の国際取引が140%増加していることが認められ、英国女王賞の国際取引 部門で2度目の受賞をしている。また、2011年には英主要紙のサンデー・タイムズの成長のスピードと規模を測る「Fast Track 100 (急激に成長している非上場企業100社)と Top Track 250(中規模非公開企業トップ250社)」の両方のカテゴリーにランクされた4つの企業の1社となった。2017年3月には、プラチナ業界のマーケティング団体のワールド・プラチナム・インベストメント・カウンシルによってオンライン・プラチナ地金投資保管のパートナーとして選ばれる。ブリオンボールトは、2022年5月から10月にかけて大英図書館で開催されている「Gold」展のスポンサーとなっている。
さらに詳細は、http://gold.bullionvault.jp