金投資へは依然として慎重であるものの新規顧客数は急増
金投資へは依然として慎重であるものの新規顧客数は急増し、利益確定も史上最高値を更新する中で減少
2024年9月10日ロンドン -英国を始めとする欧米の投資家の金地金に対するセンチメントは、8月に価格が史上最高値を更新する中でよりポジティブになっていたことが、世界有数のオンラインの貴金属市場を提供するブリオンボールトの新たなデータで明らかとなった。
しかし、今年3月に金がトロイオンスあたり2200ドルを超える記録的な高さまで急騰した際に、投資家の金購入意欲は記録的な低さまで落ち込んだ後、金価格は上昇を続けて先月2500ドルを超える最高値をつける中、投資家は金購入に対して慎重な姿勢を維持している。
ブリオンボールトのリサーチディレクターであるエィドリアン・アッシュは、「2024年の秋には、金のポジションを新たに持つ、また追加する多くの理由がある」と述べている。
「しかし現段階までは、金価格の動きは、現物ではなくデリバティブ取引に先導されている。欧米の中央銀行が借り入れコストをどこまで引き下げるかに賭けるトレーダーが、8月の史上最高値を更新させた。今月米連邦準備制度理事会(FRB)がついに利下げに踏み切るため、金は押し下げられる可能性がある。」
ブリオンボールトで安全に保険をかけて保管されている金地金の購入者数が、売却者数を上回ったことから、8月に金投資家インデックスは、5月以来初めて上昇し、0.5ポイント増の52.8となっていた。
2009年10月から公表されているブリオンボールトの金地金投資家インデックスは、月間で売却を上回る購入をしたネット購入者数と、購入を上回る売却をしたネット売却者数が一致する場合は50.0となる。金投資家インデックスは、2020年3月にコロナ危機が全世界へ広がった際に、10年ぶりの高水準となる65.9を記録している。
その4年後の今年3月には価格が急騰し、ブリオンボールトのユーザーが貴金属を購入するよりも利益確定の売却をすることを選択したため、投資家のセンチメントを示すこの数値は47.5まで下がっていた。
エィドリアン・アッシュは次のように先月の数値について解説している。
「欧米の投資家が、高値を続ける金の投資に対して慎重である一方で、利益確定の売却量は金価格の上げ幅と比較してもて鈍化しており、米国連邦準備制度理事会(FRB)がカナダ、ニュージーランド、ユーロ圏、そしてイングランド銀行に続き、20年来の高水準から金利を引き下げる準備をしているために、新たに金に投資する人々が急増している。
今月の米国の利下げまでの期間はとても長かったために、金価格がさらに上昇することを保証するのは難しいだろう。しかし長期的には、11月の大統領選を前にFRBが景気後退を回避するには遅すぎた利下げのタイミングであるという懸念がある中で、投資家の投資の選択肢が、預金金利が下がることで減ることからも、金地金への新たな資金流入を支えるだろう。」
月間平均金価格は8月にトロイオンスあたり2467ドルと前月比3.0%上昇し、2024年にドル建て月間平均金価格として6度目の最高値を記録し、2010年と2020年の記録に並ぶこととなった。
重量で見ると、ブリオンボールトの顧客は、購入した金地金よりも0.1トン多い金地金を売却し、保有量は0.3%減少し、過去4年間で最小の44.8トンとなっていた。しかし、その評価額はドル建てで3.2%増の36億ドルを超える新記録となっていた。
一方、ブリオンボールトの新規顧客数は、過去12ヶ月の平均を45.5%上回り、2020年のパンデミック以降で最も多い数値となっていた。
金とは対照的に、現物需要の5割以上を工業用や技術用で占める銀の月間平均価格は、8月に大きく下落し、ドル建てで前月比4.1%安で、4月以来の安値のトロイオンスあたり28.52ドルとなっていた。
このため、投資家の需要は、ほぼ8トン増加し、総保有量は0.6%増の1,175トン(11億ドル相当)と5ヶ月ぶりの高水準となったものの、銀の8月のネット購入者数は、ネット売却者数の2倍近く減少し、7月の16ヶ月ぶりの高水準から11.0%減少していた。
その結果、銀投資家インデックスは、7月の0.4ポイント上昇から一転して53.1ポイントに低下していたものの、3月から5月にかけて3ヶ月連続で50ポイントを下回る記録的な低い水準からは脱して、6月以来続いている50を上回る数値を維持していた。
「投資と工業用金属としての銀の二通りの役割からも、銀価格は金の強気相場と中国の景気減速の狭間に入ってしまっている。」とブリオンボールトのアッシュは述べている。
「投資家は、利益確定の売却が続いた後、現物保有量を回復させるために、銀価格が低迷しているこの時期を利用して購入をしている。」
以上
連絡先: ホワイトハウス佐藤敦子
直通電話番号: +44(0)20 8846 3804
メールアドレス:atsuko.whitehouse@bullionvault.com
ブリオンボールトの金・銀投資家インデックスについて
ブリオンボールトの金・銀投資家インデックスは、個人投資家の地金現物の投資傾向を表す、世界でも数少ない指標である。24時間取引が行われている、ブリオンボールトのオンライン市場で取引がされたデータを基に算出され、それぞれのインデックスは、月間でその地金の購入が売却を上回ったネットで購入した投資家の数と売却が購入を上回ったネットで売却をした投資家の数のバランスを表している。そして、この購入者数と売却者数が完璧に一致した際を50として表示されている。
ブリオンボールトが発表するデータは、他の金銀地金市場のデータを補完し、世界最大の個人投資家へ行ったアンケート等の「意図」ではなく、実際に取引されたデータを基に算出されている。詳しくは、ロンドン貴金属市場協会(LBMA)のAlchemist誌の2013年の記事をご覧ください。
ブリオンボールト社について
ブリオンボールトは、金・銀・プラチナ・パラジウム地金現物所有サービスをオンラインで提供している世界でも有数の英国企業。2005年にサービスを開始し、現段階で175か国からの10万人を超える個人投資家が48億ドル(7020億円)相当の地金を保管し、専門市場の取引料率の低さと、流動性の高さ、そして厳重なセキュリティーという恩恵を受けている。また、ブリオンボールトのサービスは自己投資型個人年金の英国のSIPPや米国のIRA口座、信託口座、企業やチャリティー団体が現物金地金を保有するためにも使われている。
ブリオンボールトは、下記サービスを提供している。
•オンラインとモーバイルで金・銀地金現物を24時間取引し、即座に決済。
•米国ドル・ユーロ・英国ポンド・日本円の利用が可能。
•地金現物を格安費用で、ロンドン、チューリッヒ、ニューヨーク、シンガポール、トロントで特定保管。
•日々オンライン上で、顧客所有の金・銀現物が保管されていることを証明するディリーレポートを公表。
ブリオンボールトは、2008年にロンドン貴金属市場協会(LBMA)の正会員となった。そして2009年には、個人投資家が地金専門市場にアクセスすることを可能としたことから、英国女王賞を革新部門で受賞し、2013年4月には、過去4年間の国際取引が140%増加していることが認められ、英国女王賞の国際取引 部門で2度目の受賞をしている。また、2011年には英主要紙のサンデー・タイムズの成長のスピードと規模を測る「Fast Track 100 (急激に成長している非上場企業100社)と Top Track 250(中規模非公開企業トップ250社)」の両方のカテゴリーにランクされた4つの企業の1社となった。2017年3月には、プラチナ業界のマーケティング団体のワールド・プラチナム・インベストメント・カウンシルによってオンライン・プラチナ地金投資保管のパートナーとして選ばれる。ブリオンボールトは、2022年5月から10月にかけて大英図書館で開催されている「Gold」展のスポンサーとなっている。
さらに詳細は、http://gold.bullionvault.jp