米大統領選を前に新規顧客数は倍増したものの米国の投資家は動かず
2024年11月7日ロンドン -世界有数のオンライン貴金属市場を提供するブリオンボールトの最新のデータとその分析によると、米国の大統領選挙を前に、金価格が史上最高値の更新を続けていた10月に新規顧客数が倍増していたものの、米国からの新規顧客は軟調で、先月は9月から減少をしていたことが明らかとなった。
ブリオンボールトのリサーチ・ディレクターであるエイドリアン・アッシュは、次のようにコメントしている。
「もし、米国の選挙が地金の安全資産としての需要に何らかの影響を与えていたとすれば、それは、米国の有権者よりも、欧州の個人投資家をはるかに不安とさせていたようだ。米国の投資家の間で、金が安全資産としての魅力を失ったとは考えにくい。米国投資家の貴金属への需要が比較的低いのは、おそらく政治的な二極化の深さを示しているのだろう。同国の有権者は非常に分裂しており、反対意見を持つ人と議論をすることも会うこともないようだ。」
米ドル建て金相場は10月に4.0%上昇して2734ドルとなり、水曜日にトロイオンスあたり2777ドルと年初来39番目の世界指標ベースでの史上最高値を更新していた。(英ポンド建てで8.3%、ユーロ建てで6.7%、日本円建てで10.5%)この記録は1979年の通年の記録に次ぐものであり、2024年の金の新高値のうち9回が10月に記録されていた。
全世界で、貴金属への新規投資家の数は、12ヶ月の平均から倍増(104.2%増)し、9月の数値からは49.9%増となり、英国、フランス、ドイツ、イタリアでの増加が顕著で、ロシアのウクライナ侵攻があった2022年3月以来の高さとなっていた。
英国の新規顧客数は、レイチェル・リーブス財務相の労働党初の予算への懸念がある中、9月より41.6%増加し、12ヶ月間の平均より116.2%増加し、2021年5月以来最も多くなっていた。しかし、米大統領選挙が間近に迫っていたにもかかわらず、米国の新規顧客数は12ヵ月平均を54.8%上回ったにすぎず、9月の数字からは17.2%減少し、13ヵ月ぶりの高水準だった5月を36.8%下回っていた。
先月、ブリオンボールトを利用して金地金の保有を開始もしくは追加した投資家の数は、9月より37.5%増加し、2023年6月以来最も多くなっていた。
金投資家インデックスは、ブリオンボールトで金地金現物に投資する個人投資家の過去15年間のセンチメントを示す独自の指標であり、先月は9月の5ヶ月ぶりの低水準から1.6ポイント上昇して53.6となり、6月以来の高い数値となっていた。
この指標は、2020年3月にコロナ危機が起きた際に65.9という10年間の最高値を記録し、金が価格高騰を始めた今年3月には47.5という史上最低値まで下落していた。これは、過去15年間で50.0を下回った3度目のことでもあった。この数値が50を下回った場合は、月間の購入量が売却量を上回ったネット購入者数が、ネット売却者数を下回ったことを示している。
この状況をエィドリアン・アッシュは次のように解説している。
「金の記録的な強気相場は、明らかにこの価格上昇が続くことに賭ける投機トレーダーを引き寄せている。しかし、この新規購入者の急増を、買い逃しを恐れることだけが原因とするのは、現物金市場においては間違いであろう。将来の不確実性、ボラティリティ、地政学的リスクは高まっており、それは米国の選挙のみが要因ではない。金は他の資産クラスの損失を相殺するのに歴史的に役立っており、その魅力は金の直近の史上最高値を上回るものとなりつつある。新規顧客にとって、逃した価格は重要ではない。今日の買い手にとって重要なのは、金が次の危機が訪れたときに何ができるかということだ。」
ブリオンボールトの顧客の金地金保有量(顧客がロンドン、ニューヨーク、シンガポール、トロント、チューリッヒから保管場所を選択)は、0.6%減少し、51ヶ月ぶりの低水準となる44.2トンとなっていた。
投資家による利益確定の売却は14ヵ月連続となっていたものの、ネット売却量は271キログラムと、6ヵ月ぶりの高さとなった9月からほぼ4分の1(23.2%)へと減少していた。また、10月はブリオンボールトの顧客の金地金保有評価額は4ヶ月連続で増加し、ドル建てで3.3%増の38億ドル(日本円建てで6.2%増の5920億円)となっていた。
顧客の金地金保有量は、2023年8月に記録した過去最高の48.2トンから8.4%減少しているものの、ドル建てでは29.0%(日本円建てで34.8%)増加している。
銀地金においては、9割が西欧と北米に在住しているブリオンボールトの個人投資家は、10月に16.4トン売却していた。
この前月比1.4%の減少は、ブリオンボールトの顧客が今年夏に取り戻した銀地金保有量を消し去り、過去45ヶ月で最低の1,146トンとなっていた。しかし、投資家の銀地金保有量は、過去最低であった2022年10月の1,267トンから9.5%増加しており、その評価額は58.9%(日本円建てで67.8%)増加し、過去最高の12億3800万ドル(1889億円)となっていた。
10月に銀投資家インデックスは51.0となり、9月の4ヶ月ぶりの低水準から2.1ポイント上昇していた。
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連絡先: ホワイトハウス佐藤敦子
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ブリオンボールトの金・銀投資家インデックスについて
ブリオンボールトの金・銀投資家インデックスは、個人投資家の地金現物の投資傾向を表す、世界でも数少ない指標である。24時間取引が行われている、ブリオンボールトのオンライン市場で取引がされたデータを基に算出され、それぞれのインデックスは、月間でその地金の購入が売却を上回ったネットで購入した投資家の数と売却が購入を上回ったネットで売却をした投資家の数のバランスを表している。そして、この購入者数と売却者数が完璧に一致した際を50として表示されている。
ブリオンボールトが発表するデータは、他の金銀地金市場のデータを補完し、世界最大の個人投資家へ行ったアンケート等の「意図」ではなく、実際に取引されたデータを基に算出されている。詳しくは、ロンドン貴金属市場協会(LBMA)のAlchemist誌の2013年の記事をご覧ください。
ブリオンボールト社について
ブリオンボールトは、金・銀・プラチナ・パラジウム地金現物所有サービスをオンラインで提供している世界でも有数の英国企業。2005年にサービスを開始し、現段階で175か国からの10万人を超える個人投資家が52億ドル(7940億円)相当の地金を保管し、専門市場の取引料率の低さと、流動性の高さ、そして厳重なセキュリティーという恩恵を受けている。また、ブリオンボールトのサービスは自己投資型個人年金の英国のSIPPや米国のIRA口座、信託口座、企業やチャリティー団体が現物金地金を保有するためにも使われている。
ブリオンボールトは、下記サービスを提供している。
• オンラインとモーバイルで金・銀地金現物を24時間取引し、即座に決済。
• 米国ドル・ユーロ・英国ポンド・日本円の利用が可能。
• 地金現物を格安費用で、ロンドン、チューリッヒ、ニューヨーク、シンガポール、トロントで特定保管。
• 日々オンライン上で、顧客所有の金・銀現物が保管されていることを証明するディリーレポートを公表。
ブリオンボールトは、2008年にロンドン貴金属市場協会(LBMA)の正会員となった。そして2009年には、個人投資家が地金専門市場にアクセスすることを可能としたことから、英国女王賞を革新部門で受賞し、2013年4月には、過去4年間の国際取引が140%増加していることが認められ、英国女王賞の国際取引 部門で2度目の受賞をしている。また、2011年には英主要紙のサンデー・タイムズの成長のスピードと規模を測る「Fast Track 100 (急激に成長している非上場企業100社)と Top Track 250(中規模非公開企業トップ250社)」の両方のカテゴリーにランクされた4つの企業の1社となった。2017年3月には、プラチナ業界のマーケティング団体のワールド・プラチナム・インベストメント・カウンシルによってオンライン・プラチナ地金投資保管のパートナーとして選ばれる。ブリオンボールトは、2022年5月から10月にかけて大英図書館で開催されている「Gold」展のスポンサーとなっている。
さらに詳細は、http://gold.bullionvault.jp