SGEが開設されゴールドの取引が開始されたのは2002年10月30日でした。それまで中国では、中央銀行である中国人民銀行が、ゴールドの公定価格を発表しており、中国国内ではこの価格でゴールドが取引されていました。その昔はこの価格は半年に一度といった頻度でしか更新されず、当然のことながら、常に動いている国際ゴールド価格とは大きく乖離することもしばしばでした。中国でも目ざとい人々は、人民銀行のゴールド価格が割高なときは香港からゴールドを密輸、それを人民銀行に売り、逆に割安なときな人民銀行から買い、それを香港に持っていって売るだけで値ざやを稼ぐことができました。こういった時代がずいぶん長く続きましたが、さすがに人民銀行もその価格の変更の期間をだんだん短くしていき、最後は一週間に一度変更まできましたが、それでも刻一刻と動いている海外市場の動きにはついていけず、中国国内のゴールド価格がゆがんだ状態であることは変わりませんでした。そういった状況がいつまでも続くはずもなく、2002年に中国で初めての公設ゴールド市場である上海黄金交易所が取引を開始、中国国内でのゴールド価格の決定権（英語ではPrice finding mechanismと言ったりします。）は中央銀行からまさに市場の手に委ねられることになったのです。開設当初は108社のメンバー会社で会員は構成されていました。そして現在に至るまで基本的には中国に籍を置く中国企業だけがメンバーになることができ、海外の参加者には閉ざされた世界でした。

そのSGEが2013年9月に設置された上海自由貿易試験区（Free Trade Experimental Zone）を利用して、海外勢の取引を可能にする新たな取引市場を開設しようとしています。（9月後半開始予定）まずSGEはShanghai International Gold Exchange Co.,Ltd.（SIGEX）という会社を自由貿易試験区に設立しました。SIGEXはSGEの国際ビジネスを促進し、国際メンバーの自由貿易試験区での取引にかかわるすべてを管理運営することになりました。この国際メンバーというのは新しく設置されたカテゴリーです。その条件は

1. 中国以外で登記された法人であり、SGEもしくは自由貿易区で認められていること。
2. SGEとSIGEXのルールを守ること。
3. 各メンバーの国内のマーケットと国際市場において活発な取引を行っていること。ゴールドの生産者、銀行、精錬会社、ファンドなどなど。
4. 総資産が1000万米ドル以上であること。
5. 最近に大きな法律上の問題を犯していないこと。
6. SGEに認められたスタッフとビジネスに必要な取引施設そして通信網を所持していること。
7. SGEにより定義されたその他の資格を有すること。

ということであり、要件をみる限りは、今世界でゴールドの取引をすでに行っている企業であればそれほど難しくなく国際メンバーになれそうです。取引の決済はオフショアの人民元。受け渡し供用品は、SGEにより認められたブランドもしくはLondon Good delivery Brandです。SGEとしてはこの「国際取引」によって国内市場と国際市場をつなぎたいという思想があるのだと思います。国内市場のメインプレーヤーである中国の銀行がこの二つのマーケットのいわゆる裁定取引を行い、市場間の架け橋になるのかどうか。このあたりがひとつの鍵になってくると思われます。またオフショア人民元のマーケットがどれほどの流動性があり、実際に為替のヘッジをいかに機動的に競争的なレートでできるのかも海外勢にとっては重要な点となるでしょう。おそらく開設当初は多くの海外プレーヤーはまずは様子見ということになるでしょう。ここに流動性が出てくれば参入ということになるでしょうが、最初にそういった流動性をこの市場に出すことができるのかが、スタート成功の鍵になりそうです。取引が始まったらまたレポートしましょう。

以下、実際の詳しい取引要項です。

「取引要項」

取引日は月曜日から金曜日まで、取引時間は一日あたり3つの時間帯に分かれます。夜間取引もあるので一週間のスタートは前週の金曜日の20:15。そしてその他の平日は前日の20:15がオープニングになり、20:20-29までCall Auctionという名前の板寄せを行い、その後20:30から翌日02:30、9:00 から11:30、13:30から15:30という取引時間です。各セッションの間には2時間もの休憩時間があり、昔のTocomを彷彿とさせます。休日の翌日は午前8:45にオープニング、その後は普段と同じ3セッションがあります。

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FTEZで取引される商品は以下のとおり。

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「各取引の詳細」

各取引の詳細は以下の通りです。Spot Contractは実際の現物の売買であり、売り手は現物を用意し、書いては買い代金を用意して初めて取引が可能です。これはまさにOTCの現物市場をそのまま取引所に持ってきたようなたてつけです。純度、大きさによって4つのカテゴリーに分かれます。またSpot and Deferred取引はいわゆる先渡し契約で、毎日ポジションがロールオーバーされていきます。反対売買で清算することも、現物の受け渡しで決済することも可能です。

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