東京ゴールドフェスティバル2015
5月30日は「東京ゴールドフェスタ2015」が開かれました。この催しは、一年に一回開かれているもので、ゴールドをより身近に感じてもらいたいという意図(少なくとも僕は)のもとに開かれているイベントで、毎年いろいろ斬新な企画を考えやわらかいほうからお堅いところまで、金現物、金箔、アクセサリーから投資商品、そして落語から金肉?までとにかく「ゴールド」にまつわる(ほとんどまつわらないものも。笑。)を集めたゴールドのお祭りです。その内容を簡単に紹介します。写真はゴールドフェスタ事務局からです。
第1部 基調演説「黄金の国ジパング復活への挑戦!」
熊本大学准教授、「戦う海洋火山学者」横瀬久芳氏の基調講演。横瀬教授は「ジパングの海- 資源大国ニッポンへの道」(講談社+α新書)の著者であり、「海洋火山学者」。日本の海にはゴールドをはじめとした資源がたくさん埋まっているとして、その可能性を自らの採掘活動を通して説明。大学の教授先生とは思えないような軽やかなトークでした。
第2部 「落語:外為裁き&金にまつわるトークショー」
柳家花緑師匠による新作落語「外為裁き」。ネタばれになるので内容が言えないのが残念ですが、為替とゴールドを絡めたお話。僕はこれを聴くのは二回目ですが、この新作は数年前の円高の時期(70円台だった頃)に作られた話。今や120円という円安で、その環境の違いもおもしろおかしく、落語のあとに作者である藤井青銅さん、そしてフリーアナウンサーの櫻井彩子と語っていました。こんなところにゴールドが登場するなんて、というなかなか意外な落ちであり、これはきっと為替やゴールドに興味がある人には楽しめる落語だと思います。
「ゴールデンマッスルパフォーマンス BY NPCJ」
筋肉=金肉?からの日本トップ2のボディビルダーによるパフォーマンス。ただただすごい肉体でした。ゴールドと関連づけるには駄洒落以外なにもないですが。。笑。
第3部 「5カ国比較:ニッポンの金、世界のゴールド」
ここでようやく僕も壇上へ。中国:陳満咲杜氏、インド:スニル・クルカルニ氏、イギリス:ホワイトハウス佐藤敦子氏、ドイツ:リュディガー・ボーン氏という面々と各国におけるゴールドの位置づけ、一般の人々にとってのゴールドについて話をしてもらいました。
ドイツでは二度の世界大戦を通じて通貨が紙切れになる経験があり、特に高齢の人々はいまだにゴールドに価値を見出しており、最近では、ユーロをめぐるギリシャ及び南欧の経済問題のために、ドイツでのゴールド現物の買いが急増しており、これはドイツ国民の欧州の将来に対する不安を表しているといえます。WGCの発表によると2014年第一四半期では、ドイツは32.2トンのゴールドを購入、前年よりも20%も増加し、欧米諸国ではNo.1となっています。イギリスではドイツほどの盛り上がりはありませんが、個人主義の国であり、政府をこれっぽっちも信じていない投資家は、着実にゴールドを買っていると。
世界のゴールド需要をリードするインドと中国はさらに興味深い話が聴けました。インドではディワーリと呼ばれるヒンズー教のお休みの特定の一日にゴールドを買うのが縁起がいいとされ、その日はインド中の宝飾店でまさに飛ぶようにゴールドが売れると。そして娘が嫁に行くときは、それなりのゴールドを持たせる必要があり、親は非常に大変だと。(3人娘がいれば身代をつぶすとか)結婚式は3日くらい続き、女性客は身体中にもてるすべてのゴールドを身につけてくると。インド人がゴールドを売ることはまずありえないとのこと。逆に中国では、男性が結婚するときにそれ相応のゴールドを持っていく慣わしのようで、インドとは真逆。そしてこれはおそらくインド・中国共通で、その人口の大部分を占める農民にとって蓄財はゴールドであり、どれくらいゴールドを持っているかを自慢する傾向があると。インド人はそれを身につけ、中国では田舎のホテルでは金箔を貼ったぴかぴかなホテルもあるといい、各国のゴールドに対するそのいろいろな姿勢が非常に興味深いセッションでした。惜しむらくは、時間がぜんぜん足りなかったことでしょうか。やはりその国の人に話を聞くのは、いろんなニュースや発表された統計といった数字から類推するのとはまったく違った現実味があります。僕個人としてもぜひ、今度はもっと深く突っ込んだ話を聞いて見たいと思いました。実際スニル氏には前もって彼のインド料理のお店Swagatでカレーを食べながら話を以前に聞いており、それがすごく面白かったのです。次の機会にはぜひ皆さんにもたっぷりと聞いてほしいと思うのです。
「ゴールド川柳」
大賞はこれ。傑作。「質屋にて 愛もメッキと 知らされる」
第4部 「20年先を見据え。これからどうなる金価格」
いつもの大橋ひろこさんの司会で亀井幸一郎さんと僕との鼎談。今回はこれまでの歴史的なゴールドの動きを過去30年間のトピックで振り返り、ゴールドの需給の基礎知識も紹介、そのあとで今後20年の視点を話しました。ぶっちゃけ20年先なんて何がどうなっているか皆目検討もつかないわけですが、だからこそ、少なくとも紙切れではなく、そのものの価値が認められているゴールドを少しずつでも持っておくことは意味があることでしょう。僕は下がったときに100gバーを分散して買っています。売りは。。まだやったことがありません。笑。基本、買って持っているだけです。ゴールドは細かな売買を繰り替えすアセットではなく、持っておくものだと思うからです。
ゴールドフェスティバルは、日本で唯一のゴールドをメインテーマにしたイベントです。今後も人々とゴールドとの距離を縮めるべく、いろいろな企画をサポートしていきたいと思っています。
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