中国版ゴールド・フィキシングが4月19日に開始予定
今週はThe FastMarkets社のレポートを参考に新しい中国のゴールドの「値決め」の計画を見てみましょう。
4月19日からSGE(上海Gold Exchange)で新たなゴールド・フィキシングが始まります。これは国内のメンバーのみならず、海外からの参加者も参加を呼びかけることによって、ロンドンに変わりうる指標価格を中国でという狙いがあるものと思われます。その仕様はもはや公開されています。外資の銀行のメンバーを通して売買に参加する顧客は、匿名性が維持されるのに対して、国内の取引参加者は固有のコードを持っており、それがシステムに表示され、誰が何をしたかが分かるようです。
現在ロンドンのLBMA Gold Price(London Fixingの後継として行われているシステムによる値決め)はICE(Intercontinental Exchange)のシステムの上で行われていますが、SGEのものはそれとは大きく違うものになるようです。
価格決定メンバー(Fixing memberのようなもの)は、SGEの計画によると14社あるとのことですが、内部情報に詳しい人間には16社という人間もいて正確な数字はまだ分かりません。この価格決定メンバーが、毎日二回行われる「オークション(セリ=フィキシング)」の前5分間に最初のオークションの開始価格を決めます。それは価格決定メンバーが、1グラムあたりの人民元建てのゴールド価格を、午前の値決め前の10:09?10:14、午後の値決め前の14:24?14:29 にシステムに入力し、その一番高い価格と一番低い価格を除いて平均価格を出し、その価格が最初のオークションのスタート価格となり午前10:15そして午後14:30にオークションが開始されます。ロンドンのオークションでは一社の議長会社(公表はされません)が「そのマーケットでの長期にわたる経験に基づき」スタート価格を決定します。
その後、SGEの参加メンバー(181社)が1分間の間、その「理論価格」で売買注文を出し、そしてその後の10秒間で14社もしくは16社の価格決定メンバーが「価格許容範囲」を狭める努力をします。これをラウンドAといい、それでも売り買いのネットバランスが400kgを超える場合は、価格は決定できず、新たな価格で再びオークションを行うことになります。この二周目のセッションをラウンドBと呼び、これ以降のラウンドの注文受付時間は30秒に短縮されます。(ちなみにロンドンの値決めも同じ30秒)
もしネットバランスが、400kgから2,000kgの間であれば、新しい価格は0.2元上げるか下げるかし、もしバランスが2,000kgから30,000kgの間であれば0.3元、もし30,000kg以上であれば0.4元というように動かす価格幅が変わります。ちなみにロンドンではこの許容量は10,000オンス(約311kg)です。
各ラウンドの後の10秒間は、価格決定メンバーは、売買のバランスを逆転することはできません。なるべくそのバランスを縮小する努力をし、もし価格が決定すれば、その残ったバランスは価格決定メンバーによって公平に分担されることになります。これはロンドンの値決めと同じ仕組みです。
このSGEの値決め開始まであと一ヶ月となりましたが、人民元建てであり、おそらく当初はそれほどの注目はされないかもしれません。しかしながら中国はインドと並ぶ二大ゴールド需要国の一つであり、この国のゴールドの価格を決めているのが、SGEである限り、世界の市場へ与える影響は、進むであろう人民元の自由化と共にどんどん大きくなっていくでしょう。中国当局は、すでにSGEのメンバーになっている外資系銀行各社にこの値決めへの参加を半ば強制的のようにリクエストしているようです。4月19日以降、この中国版ゴールド・フィキシングがどのように発展していくのか注目しましょう。