動きだしたシルバー
シルバーの上昇が目立ってきました。年初来のパフォーマンスはとうとうゴールドを追い抜き、米国で上場されている商品・金融商品の中でもトップの上昇率となりました。(2位のGoldの17.11%に対してシルバーは20.34%です。4/19午後4時現在)ゴールドに対する投資家の態度が一時期と比べると強気一辺倒からずいぶんと中立寄りになってきています。1300ドルを超えて上がっていくという雰囲気ではなくなっています。今週のKITCOによる個人投資家調査では強気と答えた投資家が66%となり、前回の調査時の80%から大きく下げています。また同時にマーケットのプロへの調査では、強気は24%となり、先週の60%から大幅にその見方が変わりました。
ゴールドが少し投資家心理が変わってきたことが作用しているのでしょうか、これまで捨て置かれていたシルバーが新たに脚光を浴びるようになってきました。現物資産をサポートする世界経済に対する不安は、いまだに投資家心理に存在していますが、いかんせんゴールドが上がり過ぎただけに、投資家はより投資商品の選択にシビアになっており、その結果、長期的に明らかにゴールドよりも割安であるシルバーにその投資家のマネーが流れ込んでいるのでしょう。この結果、金銀比価(Gold Silver Ratio:ゴールドをシルバーで割った数字 )は一週間の動きとしては、2013年8月以来の大きな下落を記録し、4月8日の81.5:1から、一挙に76:1割れまでシルバーが買われ、ゴールドが売られました。そしてこの原稿を書いている4月19日15時過ぎ、突然シルバーがさらに急騰しています。現在74:1まで、ゴールドに対してシルバーの価値が上昇しています。75:1を超えるとよりいっそう投資家がjump inしてくるとの見方がありましたが、まさにそんな動きです。
実際過去の金銀比価の動きを考えると、NY Comexでシルバーの取引が始まった1970年代前半から現在までの金銀比価の平均は57:1。このレベルは歴史的に見るとまだまだシルバーが割安と言えるレベルであり、長期的には絶好の買い場と見ている向きも多いようです。一度動きだすと足が速いのが昔からのシルバーの特徴でもあり、ファンドの活動も活発化してきています。ETFは今年の入ってから増加を続けており、2014年末以来の高水準。Nymexの投資家ロングも大きく膨らんでいます。
シルバーは一度動きだすと上がる時も、そして下がる時もそのボラティリティはゴールドをはるかに上回ります。専門用語でいう「値が軽い」メタルです。ゴールドよりもはるかに少ない資金で(なんといっても70分の1の価格ですから)、ゴールド以上に、まさにレバレッジが効いた投資ができるメタルです。儲かる時も損をする時も、大きくなるというその特徴を生かすことができる投資家には面白いメタルだと言えます。それがようやく動きだしました。これからしばらくはシルバーに注目の相場がやってくるかもしれません。