JM(Johnson Matthey)レポート - パラジウムとその他PGM
今週は先週からの続きのJMレポートの要旨で、パラジウムとロジウム、イリジウム、ルテニウムです。
「パラジウム」
●2011年の供給過剰1,190,000オンス(約37トン)から2012年は1,070,000オンス(約33.3トン)の供給不足に大きく転換。鉱山生産もスクラップの回収からの供給も減少する一方、自動車触媒からの需要は記録的な量となり、投資需要も2011年の売りこしから2012年は大きく買い越しになったことが大きい。
●パラジウムの供給は11%減少し、2012年は6,550,000オンス(約206.8トン)となった。これは2002年以来の少ない量。ロシアの鉱山生産は3%減少して2,630,000オンス(約81.8トン)。一方ロシアの国家備蓄からの売却は前年比3分の2の250,000オンス(約7.8トン)に減少、備蓄は底をつきつつある。南アのパラジウム供給は、ストライキやその他の障害の影響で9%減の2,330,000オンス(約72.5トン)。
●パラジウムの需要合計は16%伸びて9,900,000オンス(約308トン)。自動車触媒需要が7.5%の伸びで過去最高の6,620,000オンス(約206トン)。震災後の日本の自動車産業の復活、中国のさらなる成長、そして北米では消費者心理と経済活動の改善で新車登録ブームとなったことがその要因として挙げられる。
●工業用需要は4%の減少で2,370,000オンス(約73.7トン)。電子分野での主な用途であるチップコンデンサーでの使用が、節約とほかの非鉄金属の使用という競争によって減少した。パラジウムプロセス触媒の需要は、アジアでのポリエステルやプラスチック生産のための化学中間体として需要が増加。
●中国での宝飾加工の減少から宝飾需要は12%減の445,000オンス(約13.8トン)。中国のパラジウム宝飾品に対する消費者の興味の減退のために生産者や小売業者も生産を減らし、在庫も減少。そのほかの地域では、パラジウムの需要は堅調で、欧州では男性用の結婚指輪の材料として、若干需要が増加。
●現物のパラジウム投資需要は1,000,000オンス(約31.1トン)もの変化があった。2011年は565,00オンス(約17.6トン)の投資家の売り越しであったのが、2012年は470,000オンス(約14.6トン)の買い越しに。特に年前半のETFの買いが強かったことと2012年12月米国で上場された新しい投信が大きく貢献。
「ロジウム」
●ロジウムの需要は6%増加の966,000オンス(約30トン)。震災後の日本の自動車生産の復活と北米の好調によって自動車触媒需要が増加。しかしガラス産業からの需要は減少した。鉱山生産は南ア鉱山の混乱により43,000オンス(約1.34トン)減少して、722,000オンス(約22.5トン)。スクラップからの供給は若干減少の259,000オンス(約8トン)で、ロジウムの需給バランスは15,000オンス(約467kg)の供給過多。
「ルテニウムとイリジウム」
●ルテニウムとイリジウムの需要は2011年が強かっただけに大きく減少した。ルテニウムの需要は32%減少し、679,000オンス(約21.1トン)。ハードディスクと化学触媒での使用が激減したことが大きく影響。単結晶サファイアを作るのに使われるイリジウムのるつぼは在庫が豊富にあり、このため電子分野からの買いは大きく減少、イリジウム需要は46%落ち込み178,000オンス(約5.53トン)となった。
以上
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